複数の職場で働く「ダブルワーク」が一般的になってきた今、社会保険の扱いや税金の手続きに関する疑問は増えています。特に、本業と副業の勤務時間・収入がそれぞれ一定以上ある場合、「社会保険はどちらで加入すべきか」「副業は労災保険だけでも大丈夫なのか」といった点で悩む方も多いでしょう。この記事では、ダブルワークにおける社会保険の仕組みや手続き、確定申告の必要性についてわかりやすく解説します。
ダブルワークにおける社会保険加入の基本ルール
まず知っておくべきは、社会保険(健康保険・厚生年金)は基本的に1つの会社でしか加入できないという点です。本業で既に社会保険に加入していれば、副業先では社会保険の加入は必要ありません。
ただし、副業先でも週20時間以上勤務し、月額収入が88,000円以上あり、勤務期間が継続見込みで、従業員数101人以上であれば、「社会保険の加入義務」が発生します。これを「社会保険の適用拡大」と呼びます。
副業が労災保険のみ適用になる理由
今回のケースでは、副業先は従業員数10名程度とのことなので、「社会保険の適用拡大」の対象にはなっていません。つまり、いくら収入や労働時間が基準を満たしていても、企業の規模が小さいため社会保険の適用義務がないのです。
一方、労災保険は全ての労働者に必須であり、たとえ1日だけのアルバイトであっても適用対象となります。したがって、副業先では労災保険のみ加入
年末調整は副業先で受けられるのか?
副業先で「年末調整をしてくれる」と言われたとしても、年末調整は基本的に主たる給与所得先のみで行うのが原則です。副業収入は、本業の年末調整に合算されないため、結果的に自分で確定申告が必要になる場合があります。
例外として、年収が20万円以下であれば申告不要とされることもありますが、住民税の申告義務は残る可能性がありますので要注意です。
確定申告が必要なケースとは?
ダブルワークで確定申告が必要になる代表的なケースは以下の通りです。
- 副業の年間所得が20万円を超える
- 医療費控除やふるさと納税など、所得控除を追加したい
- 本業と副業を通じて副収入が発生し、住民税の申告を分離したい
今回のように、月8万円~9万円の副業収入がある場合、年間で100万円以上になるため確定申告は必要と考えるのが安全です。
副業と社会保険料の負担関係
副業先で社会保険に加入しない場合でも、本業での収入と保険料に基づき保険料が決まります。つまり、副業収入は社会保険料に影響しません。ただし、副業によって所得税や住民税の負担は増えるため、副業分の税金処理を確実にすることが大切です。
まとめ|副業は労災のみでも違法ではないが確定申告に注意
副業先が小規模事業所であれば、社会保険に加入しなくても問題ありません。労災保険の適用は法的義務であるため、副業先で加入していれば適切な処理といえます。ただし、副業収入が増えた場合は確定申告や住民税申告が必要となることを念頭に置きましょう。
将来的に副業先でも社会保険の適用拡大が進む可能性もありますので、制度変更にも敏感に対応していくことが重要です。
コメント