歯科医院で働く歯科衛生士の方にとって、「歯科医師国保(歯科医師国民健康保険)」への加入はよくある選択肢です。ただし、その加入条件や適用範囲については意外と複雑で、特に掛け持ち勤務の場合、「加入できるのか?」「週の勤務時間は合算していいのか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、歯科医師国保の基本と、複数の歯科医院を掛け持ちする場合の加入可否について詳しく解説します。
歯科医師国保とは?
歯科医師国保は、歯科医師会が運営する職域型の国民健康保険制度で、主に歯科医師、歯科衛生士、歯科助手などが対象となります。市区町村の国保と異なり、一定の条件を満たす医療従事者が加入できるのが特徴です。
この制度に加入すると、医療費の自己負担割合は原則3割で、通常の健康保険と同様の給付が受けられます。また、保険料は所得に関係なく定額制が多いため、収入が少ない方でも負担感が予測しやすい点が魅力です。
加入条件:週25時間以上の勤務が基本
歯科医師国保に加入するためには、「歯科医療機関において週25時間以上勤務していること」が大前提です。この勤務時間の基準は、社会保険とは異なり、職種にかかわらず適用されます。
この週25時間という基準を満たすことで、正社員・パートを問わず、歯科衛生士・助手でも加入資格を得ることができます。ただし、個々の歯科医師国保組合(都道府県単位)によって若干の判断基準が異なる場合があります。
掛け持ち勤務でも加入できるのか?
2つの歯科医院の勤務時間を合算して週25時間を超える場合、原則として歯科医師国保への加入は可能です。ただし、重要なのは「いずれの医院も歯科医師国保の対象となる事業所であること」です。
具体的には、歯科Aと歯科Bの双方が歯科医師国保の取り扱いがある場合、勤務時間を合算したうえで加入が認められるケースがあります。加入手続きは、主たる勤務先(たとえば将来的に正社員になる予定のA医院)を通じて行うのが一般的です。
事例:A医院で週15時間、B医院で週12時間勤務 → 合計週27時間 → 主たるA医院を通じて加入申請
注意すべき手続きや書類
掛け持ちでの加入には、以下の点に注意が必要です。
- 主たる勤務先(多くの時間を勤務している医院)を中心に手続き
- もう一方の医院の勤務証明書や勤務実態の確認書類を求められることがある
- 組合によっては両方の医院から勤務証明を提出させる場合も
手続きをスムーズに進めるためには、事前に歯科医師国保組合に相談し、必要な書類や手続き方法を確認しておくことが非常に重要です。
正社員になる予定がある場合の取り扱い
1ヶ月後に正社員になる予定があるのであれば、A医院での単独勤務だけで週25時間以上になる見込みです。その場合、正社員になったタイミングで改めて加入するという方法も検討できます。
ただし、その1ヶ月の間に既に週25時間を満たしていれば、早めに加入しても問題はありません。むしろ、保険未加入の状態を避けるという意味では早めの加入は安心につながります。
まとめ:掛け持ち勤務でも歯科医師国保への加入は可能
歯科衛生士として複数の医院に勤務している場合でも、週25時間以上の勤務実態があれば、歯科医師国保に加入することは可能です。ただし、主たる勤務先を通じた申請や、勤務証明の提出が求められる点には注意が必要です。
特に勤務形態が変わるタイミング(正社員登用など)では、保険の加入・変更手続きが複雑になることもあります。迷った場合は、早めに勤務先または歯科医師国保組合に相談することで、スムーズな対応が可能になります。
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