近年の最低賃金の引き上げはパートタイムで働く方にとって嬉しい反面、社会保険や雇用保険の条件に影響を及ぼす場合があります。とくに「雇用保険のみに加入しながら、収入を抑えて働きたい」と考える方にとっては、労働時間と収入のバランスが悩みの種です。この記事では、雇用保険のみに加入し続けるための基礎知識と、時給アップに対応した働き方の工夫を具体的にご紹介します。
雇用保険の加入条件とは?
雇用保険に加入するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること(=月87時間程度)
- 31日以上の雇用見込みがあること
つまり、月の労働時間が87時間を下回ると、基本的に雇用保険の対象から外れてしまいます。そのため、最低賃金の上昇により収入制限を守ろうと時間を減らすと、雇用保険から外れるリスクが生じます。
月収88,000円以内に収めたい理由と落とし穴
月収88,000円という基準は、主に社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象外でいたい方が意識する金額です。これを超えると勤務先によっては社会保険に加入が必要になる場合があるからです。
ただし、88,000円以内に抑えるために労働時間を月87時間未満にすると、雇用保険加入条件も満たさなくなるリスクがあり、本末転倒になる可能性があります。雇用保険を維持したい方は、88,000円の制限よりも「週20時間以上勤務」の条件を優先する必要があります。
時給アップと雇用保険の両立にはどうする?
時給が上がることで収入が増え、88,000円を超えてしまう場合には以下の対応策があります。
- 月収の制限を諦めて、雇用保険と社会保険の両方に加入する
- 扶養に入っている場合、扶養範囲の年収を再計算し、扶養から外れるか検討する
- 勤務先と相談し、シフトを月によって柔軟に調整する(繁忙期のみ増やすなど)
特に「130万円の壁」を意識している方は、年間の収入を均等にコントロールしつつ、雇用保険を維持できる働き方が求められます。
パート勤務者が知っておくべき保険加入の優先順位
扶養範囲を守りたいという理由で収入を抑える方も多いですが、将来的な失業時の備えとして雇用保険の重要性は高まっています。社会保険に入ると保険料の負担もありますが、年金や医療保障の面でメリットもあります。
もし当面の目標が「雇用保険のみの維持」であるなら、月収よりも労働時間を優先し、88,000円をやや超えても働くという選択も視野に入れてみましょう。
まとめ:雇用保険を維持するには「週20時間以上」が鍵
時給の上昇は嬉しいニュースですが、それによって労働時間を削ってしまうと雇用保険の対象外となる可能性があります。88,000円という月収の壁にこだわりすぎず、雇用保険の週20時間以上の勤務条件を優先した柔軟な働き方が重要です。
自分が何を優先するか(扶養の維持・雇用保険・社会保険の有無)を明確にしたうえで、勤務先と相談して働き方を見直すのが得策です。
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