同じ年収500万円でも、月給が多いのか、賞与が多いのかによって社会保険料の負担が変わるのか気になる方は多いでしょう。とくに会社の賃金規定の改定などで給与体系が変わる際は、手取り額に直結するため重要なポイントです。この記事では、社会保険料の仕組みを踏まえて「月給多め」と「賞与多め」の違いを整理して解説します。
社会保険料の計算方法
社会保険料は、毎月の標準報酬月額と賞与額の両方から算出されます。標準報酬月額は月給を基準に区分され、保険料率を掛けることで金額が決まります。賞与に関しても、その都度支給額に一定の保険料率がかかります。
つまり、月給と賞与どちらも保険料の対象となり、「賞与だから安くなる」ということは基本的にはありません。
ケーススタディ:AさんとBさんの比較
例として以下の2パターンを比較してみます。
- Aさん:月給37万円×12ヶ月+賞与56万円
- Bさん:月給30万円×12ヶ月+賞与140万円
どちらも合計500万円の年収ですが、Aさんは毎月の標準報酬月額が高くなる一方、Bさんは月額は低めですが賞与の額が大きくなります。社会保険料は両方に課されるため、最終的な年間負担額はほぼ同水準となります。
ただし、標準報酬月額は等級ごとに区切られているため、月給が高い方が等級が1つ上がる可能性があり、年間を通しての社会保険料が若干高くなるケースがあります。
税金面での影響は?
社会保険料以外にも、税金面の違いも考慮が必要です。賞与は源泉徴収で税額が決まるため、月給が高い場合と比べて一時的な手取りの減少が目立つことがあります。しかし年間トータルで見れば、税額に大きな差は出ません。
一方で、住宅ローン控除や扶養控除など、所得控除のタイミングによっては月給ベースで課税額が変わるケースもあるため注意が必要です。
会社の都合による変更の背景
賃金規定が「賞与多め」から「月給多め」に変わるケースでは、会社側が人件費の平準化や社会保険料の会社負担を調整する目的があることも少なくありません。社員側にとっては手取りが月ごとに安定する一方で、社会保険料が若干高くなる可能性があります。
また、将来的に年金額は標準報酬月額を基準に計算されるため、月給が高い方が将来の年金受給額が増えるメリットもあります。
まとめ
年収500万円で「月給多め」と「賞与多め」を比べた場合、社会保険料の総額には大きな差はありません。ただし、月給が高くなると標準報酬月額の等級が上がる可能性があり、年間の社会保険料負担がわずかに増えるケースがあります。一方で、その分将来の年金額が増える可能性もあるため、短期的な手取りだけでなく長期的な視点でも判断することが大切です。
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