生命保険の契約関係は、「契約者」「被保険者」「受取人」の3者によって構成されます。このうち、誰がお金を受け取れるのか、そして“被保険者に名前があるからといってお金がもらえるのか”については、実際の契約内容によって明確に決まっています。本記事では、満期保険金の受取に関するルールと、被保険者と受取人の違いを分かりやすく解説します。
生命保険の基本:3つの立場の違い
まず、生命保険の基本的な関係を整理しましょう。
- 契約者:保険契約を結び、保険料を支払う人(例:祖母)
- 被保険者:保険の対象となる人(例:孫)
- 保険金受取人:保険金を実際に受け取る人(例:祖母または父)
このように、被保険者=お金を受け取る人ではない点が最も重要なポイントです。
満期保険金の受取人が誰かで決まる
今回のケースでは、満期時に受取人が「祖母」または「父」となっており、被保険者である孫本人が保険金受取人に指定されていない場合、満期保険金800万円は孫本人には支払われません。
たとえ自分が被保険者であっても、契約者と受取人が別であれば、契約者や受取人が保険金を受け取ります。
満期時に祖母が健在だった場合の扱い
契約満了時点(2年前)に祖母が存命であり、満期保険金の受け取り手続きを済ませていた場合、その金額は祖母の口座に入金され、すでに祖母の資産として扱われます。
その場合、満期保険金は祖母の遺産の一部として相続対象となり、父や孫が相続人として法定相続または遺言に従って分配を受ける可能性があります。
祖母が満期金を受け取らずに亡くなった場合
満期金をまだ受け取っていなかった場合、契約者(祖母)が亡くなったことにより、祖母の法定相続人がその権利を引き継ぎます。つまり、父(祖母の子)などが手続きを行い、満期金を相続財産として受け取ることになります。
このように、受取人に「孫」の名前がなければ、被保険者であっても単独で保険金を直接請求することはできません。
保険金受取に関する注意点
- 被保険者=受取人ではない
- 受取人の指定が明記されていない場合、契約者が自動的に受取人となることが多い
- 祖母の死後は、未受領の満期保険金があれば「遺産」として相続対象になる
- 満期後すぐに支払い手続きがされていたか、金融機関や保険会社に確認を
まとめ
被保険者であっても、保険金の受取人に指定されていない限り、保険金を直接受け取る権利はありません。今回のケースでは、契約者である祖母が満期時点で健在だったかどうかで対応が変わりますが、いずれにせよ保険金は祖母か父のいずれかに帰属する形で処理され、孫には原則として直接の支払いはありません。
相続の可能性がある場合は、祖母の財産全体と遺言書の有無を確認し、必要に応じて相続手続きを進めると良いでしょう。
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