がん保険に加入する際、よく話題にあがるのが「終身型」と「定期型」のどちらが得かという議論です。特に終身がん保険は、65歳までに保険料を払い終えた後も一生涯の補償が続くという安心感があります。しかし、支払い総額と実際に受けられる補償のバランスは、しっかりと見極める必要があります。
終身がん保険の基本構造と仕組み
終身がん保険はその名の通り、保障が一生涯続くがん保険です。65歳払済タイプの場合、65歳までに保険料を払い終えたあとは、その後の保険料の支払いは不要になります。その後は、がんにかかった時点で診断給付金や治療給付金を受けられる仕組みです。
たとえば、月々の保険料が3,000円で30年間支払うとすると、総支払額はおよそ108万円。これに対して、がんと診断されたときに50万円の一時金、通院ごとに1万円などの補償が出ると仮定した場合、実際にがんにならなければこの金額が無駄になるという印象を持つ方もいるでしょう。
「得か損か」は結果論?保険の本来の目的を考える
保険は「起きたときに困る事態に備える」ための仕組みであり、そもそも元が取れることを前提に設計された商品ではありません。あくまで「備え」です。
実際、がんと診断された方の平均医療費は初年度で100万円を超えることもあります。その際、まとまった給付金があれば自己負担や家計の不安を大きく軽減できるのは事実です。
加入1年以内にがんになると「得」になるのか?
確かに、加入直後にがんと診断されれば、支払った保険料よりも大きな給付金を受け取れる可能性があり、「得した」と感じるケースもあるでしょう。ただし、ほとんどのがん保険には「90日間の免責期間」が設けられており、契約後90日以内のがん診断には給付金が支払われないケースがあります。
つまり、「すぐに使えるわけではない」という点は理解しておきましょう。保険会社ごとにルールは異なりますので、契約書をよく確認することが大切です。
補償内容と支払い総額のバランスを見直す
月額の保険料に対して補償内容が妥当かどうか、複数社のプランを比較してみることが重要です。
- 診断一時金の支給額
- 入院・通院・手術への対応
- 先進医療への対応
- 治療の長期化に対する補償
同じ月額保険料でも内容は大きく異なります。必要最低限の保障を安くカバーしたいなら定期型や特定治療に絞ったミニマルな保険も検討の余地があります。
実際の利用者の声と見直しのタイミング
多くの人が「見直してよかった」と実感するのは、ライフイベント(結婚・出産・退職)のタイミングです。また、実際にがんを患った知人の体験から見直しを決意するケースも多いです。
保険の営業トークに流されず、第三者のFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することで、中立的なアドバイスをもらえる可能性があります。
まとめ:保険は「安心を買うもの」と割り切る視点が大切
終身がん保険の支払い総額と補償額を比較すると、一見「損では?」と感じるかもしれません。しかし、保険の本質は「安心への投資」です。加入から1年以内に病気になる確率は低くても、歳を重ねるごとにがんになるリスクは上がります。
損得で考えるよりも、「リスクに対する備えが必要かどうか」という視点で、自分や家族の将来に最適な選択をしていきましょう。
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