パートで働きながら扶養内を維持するには、勤務時間や年収などの条件をしっかり理解しておく必要があります。特に、複数の事業所で働いている場合、「社会保険の加入条件にあたるのか?」「週20時間の基準はどう考えるのか?」といった疑問を抱える方は多いでしょう。本記事では、3社以上で働くパートタイマーの方向けに、扶養・社会保険・130万円の壁のポイントをわかりやすく解説します。
社会保険加入の「週20時間以上」の条件は会社単位
社会保険の加入義務が生じるかどうかは、基本的に1社ごとの勤務実態で判断されます。つまり、A社・B社・C社の労働時間を合算して週20時間を超えていても、どの会社も個別に週20時間未満であれば、原則として社会保険の加入対象にはなりません。
たとえば以下のようなケースでは加入義務はありません。
- A社:週4.5時間
- B社:週8時間
- C社:週10時間
合計22.5時間ですが、どの会社も個別に20時間未満なので、いずれの会社でも加入対象外です。
ただし「雇用保険」は合算ではなく原則1社が対象
雇用保険についても、1社ごとに判断され、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば、その事業所で雇用保険加入が必要になります。複数の会社で働く場合も、条件を満たした会社でのみ加入することになります。
一方で、社会保険(健康保険・厚生年金)は被保険者の要件を満たす勤務先がない限り加入は不要です。つまり、合計時間で超えていても個々の会社で20時間以上働いていない限り、扶養内の扱いに影響しないケースが多いのです。
「週ごとに勤務時間が変動」する場合の判断は?
週ごとの変動がある場合でも、おおむね月平均や1年の実績で判断されます。つまり「ある週は合計18時間だったが、別の週は22時間」というようなバラつきがある場合は、平均して週20時間以上となるかがポイントです。
ただし、扶養の判断では年収130万円未満であれば原則として扶養内となるため、時間数に加え、年間収入の見込みも重要です。
年収130万円の壁と交通費の扱いに注意
扶養判定で気をつけたいのが、「交通費も含めて130万円未満かどうか」という点です。所得税の控除とは異なり、社会保険の扶養判定では交通費(非課税分も含む)を加えた金額で見られます。
そのため、給与が年収125万円であっても、通勤手当が月5,000円(年間6万円)あると合計131万円となり、扶養から外れる可能性が出てきます。
なお、健康保険の扶養要件では、「年収130万円未満かつ同居していない場合、被保険者の援助なしに生活が困難かどうか」などの条件も確認されます。
扶養内で働き続けるためにできる工夫
収入が増えて扶養を外れるリスクを回避するには、以下のようなポイントを押さえて働くのがおすすめです。
- 給与明細に交通費が含まれているかを毎月確認
- 年末に収入が増えそうなら調整の相談を勤務先にする
- 勤務時間の管理を月単位で記録しておく
また、130万円を超えてしまうと、自身で国民健康保険や国民年金の支払いが必要になる場合もあるため、130万円の壁を越えるなら年150万円以上を目指すというのも一つの戦略です。
まとめ:複数社勤務でも社会保険加入は1社ごとの判断が基本
パートで複数の職場を掛け持ちしている場合、社会保険の加入要件はそれぞれの会社で週20時間以上働いているかどうかで判断されます。勤務時間の合算では判断されません。
一方で、扶養内を維持するには、年収130万円未満(交通費含む)を意識しておくことが重要です。扶養を外れると保険料の負担が発生するため、計画的に働く時間と年収を調整していきましょう。
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