高齢の親がうつ病などの精神的理由で退職した場合、退職後にどのような支援制度や手当が受け取れるか、把握していないと本来受け取れるはずの給付を逃してしまうこともあります。この記事では、73歳で長年勤務していた会社を退職した方を想定し、退職後に受け取れる可能性のある手当や制度についてわかりやすく解説します。
まず確認すべき:退職前の傷病手当金の対象だったか
うつ病などで就労が難しくなった場合、原則として社会保険(健康保険)の加入者であることと働けなくなった状態であることが条件になり、「傷病手当金」が支給されることがあります。
ただし、退職前に申請していない場合、退職後に初めて申請することはできません。つまり「退職後に受け取るには、在職中に傷病手当金の受給を開始していた」ことが前提条件です。
傷病手当金は最長1年6か月支給され、月額給料の約2/3が目安となります。
退職後に加入した「けんぽ」での保障内容
退職後に「任意継続被保険者」として協会けんぽに加入された場合、その健康保険からは傷病手当金の新規支給はされません。あくまで在職中の制度だからです。
ただし、医療費の自己負担は現役時と同様に抑えられるため、通院や投薬が続く方には医療費負担軽減の意味では有効です。
年齢に応じた社会保障:高齢者特有の給付制度
73歳という年齢から考慮すべきは、以下のような高齢者向けの制度です。
- 老齢年金:すでに受給開始している方が多いですが、未受給の方は確認必須です。
- 障害年金:うつ病やその他の精神疾患により生活や就労に著しい支障がある場合は、65歳未満であれば障害年金を請求できますが、65歳以上の場合は原則不可。ただし過去の障害状態を証明できれば例外も。
- 生活保護制度:世帯収入や資産状況によっては生活保護の対象となる場合もあります。
年金機構、福祉事務所、地域包括支援センターなどへ相談することで、詳細な可能性を確認できます。
地方自治体による独自支援制度も確認を
市区町村によっては、高齢者の就労困難な世帯向けに、医療費助成、生活支援サービス、見守り支援などの福祉制度を提供している場合があります。
例として、東京都では「高齢者生活支援費用助成」、大阪府では「自立支援プログラム」などがあり、地域によって名称や支援内容が異なります。
居住地の自治体ホームページや、地域包括支援センターへの相談が最もスムーズです。
事後申請できる制度とできない制度の違い
多くの公的給付制度には申請期限が存在します。傷病手当金などは事前または在職中の申請が必須であり、退職後に「遡って申請」はできないため注意が必要です。
一方で、年金や生活保護、自治体独自の福祉制度などは、退職後でも申請可能な制度が多数あります。
まとめ:退職後の支援制度は複数あるが早期相談が鍵
73歳で精神的な事情から退職された場合でも、医療費や生活支援の負担を軽減する公的制度は複数存在します。ただし、傷病手当金のように「在職中の申請が前提」の制度もあるため、時期を逃さないことが非常に重要です。
今からできることとしては、地域包括支援センター、市区町村役場の福祉課、年金事務所などへの早めの相談をおすすめします。専門家の力を借りて、使える制度を最大限に活用しましょう。
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