年末調整や確定申告において、母子家庭の方が「ひとり親控除」を受けるには、いくつかの方法と注意点があります。特に、勤務先にその事実を伝えていない場合や、自分で申告したい場合にどうすればよいかを正しく理解しておくことで、控除をもれなく受けることができます。
ひとり親控除とは?対象者の条件を整理
「ひとり親控除」は、所得税法に基づく所得控除のひとつで、以下のような要件を満たすことで適用されます。
- 婚姻歴がない、または離婚・死別している
- 扶養親族となる子がいる(16歳未満でも可)
- 合計所得金額が500万円以下
- 事実婚状態にない
これらの条件を満たせば、年末調整または確定申告で控除を受けることができます。
勤務先に母子家庭であることを伝えていない場合の影響
年末調整は会社が従業員の代わりに税務手続きを行う制度で、申告書類に記載がなければ「ひとり親控除」は適用されません。つまり、勤務先に母子家庭であることを申告していないと、年末調整では控除されないということになります。
ただし、会社に申告していなくても、後述するように自分で確定申告を行うことで控除を受けることは可能です。
年末調整後でも確定申告で控除を受けられる
年末調整後に「ひとり親控除」の申告漏れに気づいた場合は、翌年2月〜3月の確定申告で控除を申告することが可能です。この場合、源泉徴収票をもとに申告書を作成し、該当欄に「ひとり親控除」対象である旨を記入すれば問題ありません。
e-Taxや税務署窓口での申告時には、子どもの扶養関係がわかる住民票の提出が必要になる場合もありますので、事前に用意しておくと安心です。
勤務先に「年末調整をしない」と伝えることは可能か?
原則として、会社が給与を支払う場合は年末調整を行う義務がありますが、従業員があえて「年末調整不要」と伝えることは、法的には可能です。ただし、実務上は会社側の手続き上の都合で受け入れられないケースもあります。
その場合でも、年末調整を行った後に自分で確定申告をして「ひとり親控除」や他の控除を追加申告することができますので、制度上の不利益は基本的にありません。
実際の申告手続きと必要書類
確定申告で「ひとり親控除」を申請する際には、次のような書類を準備しておくとスムーズです。
- 源泉徴収票
- 扶養親族である子の住民票(必要な場合)
- マイナンバーカードまたは本人確認書類
申告方法はe-Taxまたは紙の申告書の提出がありますが、e-Tax公式サイトでの手続きが便利です。
まとめ:勤務先に申告しなくても控除は可能、自分で手続きを
「ひとり親控除」は年末調整で会社に申告していない場合でも、確定申告を行うことで適用可能です。会社によっては年末調整をしないという選択肢を受け入れてくれる場合もありますが、そうでない場合も確定申告でしっかりと対応すれば大丈夫です。
控除を受けることで所得税の軽減や住民税の減額につながる可能性があるため、手続きを忘れずに行いましょう。自身の状況に合わせた適切な申告が、家計にとって大きな支えになるはずです。
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