国民健康保険(国保)の納付は分割も可能ですが、年の途中で一括納付する方も増えています。そこで気になるのが、「確定申告ではどこまでを経費(社会保険料控除)として計上できるのか」という点です。今回は、国保を一括納付した場合の確定申告での扱いについて、具体例を交えてわかりやすく解説します。
確定申告における国保の計上ルール
確定申告では、国民健康保険料は支払った年に計上するのが原則です。つまり「いつの分の保険料か」ではなく、実際に支払った日付が重要になります。
例えば、令和7年(2025年)の1月に令和6年度分(2024年4月〜2025年3月)を一括で支払った場合、その全額は令和7年分(2025年3月提出分)の確定申告で社会保険料控除として計上できます。
12月までの支払いしか計上できないのか?
よくある誤解として「年内(12月)までに支払ったものしか申告できない」という声がありますが、それは事業の経費などの場合であって、社会保険料控除については違います。
国民健康保険料は、支払日がたとえ1月でも、その年(1月1日〜12月31日)に支払った分はすべて申告対象となります。したがって、12月までに支払っていなければならないという制限はありません。
一括納付でのメリットと注意点
一括納付を選ぶと、自治体によっては納付額が若干安くなる(早期納付割引)場合があります。また、支払日が明確になるため、確定申告時の計上がわかりやすいという利点もあります。
一方で、注意したいのは「口座引き落とし」を選択している場合です。自治体によっては複数回に分けて引き落とされるため、支払日が複数回にわかれる=複数年にまたがって計上される可能性があるということです。
実際のケーススタディ:令和6年6月に一括納付した場合
たとえば、令和6年6月に令和6年度分(4月〜翌3月分)を一括で現金またはクレジットカードで支払った場合、その全額は令和6年の確定申告(令和7年3月提出)で社会保険料控除に計上可能です。
逆に、令和7年1月に支払った場合は、たとえ保険料の対象が前年分であっても、令和7年分の申告対象になります。
確定申告での記載方法と必要書類
確定申告では、「社会保険料控除」欄に実際に支払った金額を記載します。自治体から送られる「納付済額証明書」や、領収書、クレジットカード明細、通帳の記帳内容などを手元に用意しましょう。
e-Taxを使う場合も、これらの書類の提出は原則不要ですが、税務署から提出を求められた場合に備えて5年間は保管しておきましょう。
まとめ:国保の一括納付は「支払日ベース」で計上
国民健康保険料は、何月分であっても「支払日」が属する年の所得控除として申告できます。つまり、来年3月までの分を今年中に一括で納付した場合、全額を今年の確定申告で控除対象にできます。
納付時期を工夫することで、節税や家計の計画的な管理にもつながります。わからない点があれば、自治体の税務課や税理士に相談するのもおすすめです。
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