高齢期の生活を支える柱である年金制度。しかし、年金だけでは生活費が足りないという声も少なくありません。そんなとき、生活保護というセーフティネットが存在します。この記事では、年金受給者でも生活保護を受けられるのか、制度のしくみや受給条件についてわかりやすく解説します。
年金と生活保護は併用できるのか?
結論から言えば、年金を受給していても生活保護を受けることは可能です。生活保護は「最低限度の生活を営む権利」を保障する制度であり、収入が基準以下であれば年金の有無に関係なく対象となります。
たとえば、老齢基礎年金だけで月額5万円前後しか受け取っていない場合、地域の生活扶助基準(例:東京23区で一人暮らしの場合、月約13万円)を下回るため、不足分を生活保護で補うことができるケースがあります。
生活保護の支給額はどう決まる?
生活保護は、「最低生活費」−「収入」=支給額という形で計算されます。最低生活費は住んでいる地域や世帯構成によって異なります。
たとえば、東京都内で一人暮らしの高齢者の場合、生活扶助(生活費)+住宅扶助(家賃)を合わせて、月13万〜15万円程度が基準となることがあります。
年金を受給していても申請は可能
年金収入があるからといって生活保護が受けられないという誤解は根強いですが、実際には収入の金額次第です。受給申請にあたっては、年金額や資産状況、扶養義務者の有無などが審査されます。
重要なのは、正直にすべてを申告し、窓口で相談することです。福祉事務所では、生活保護以外の支援制度も紹介されることがあります。
生活保護の申請手続きと注意点
申請はお住まいの市区町村の福祉事務所で行います。本人または家族による直接申請が原則で、以下のような書類が必要になります。
- 身分証明書(マイナンバーカード・保険証など)
- 年金証書・振込通知書
- 家賃の支払証明書や公共料金の請求書
- 資産(預貯金・保険・車両など)の情報
なお、車や持ち家、一定額以上の預金があると生活保護の対象外になることがあります。詳しくは窓口で相談しましょう。
実例:年金月6万円でも生活保護が受給できたケース
70代の女性が年金のみで月6万円の収入しかなく、賃貸住宅に住んでいたため生活が困難に。福祉事務所に相談した結果、生活扶助・住宅扶助を含めて月約9万円の生活保護を受給することが決まり、安定した生活を取り戻した事例があります。
このように、年金があっても生活基準を下回れば補填を受けることができるのです。
まとめ:年金があっても困窮すれば生活保護は利用できる
生活保護は最後のセーフティネットであり、年金を受け取っていても困窮していれば活用できます。重要なのは、「受け取っている金額」ではなく、「生活基準を下回っているかどうか」です。
年金だけでは生活が成り立たないと感じたら、ためらわず福祉事務所に相談しましょう。支援を受けることは恥ずかしいことではありません。必要な支援を受けて、安心した老後を送ることが大切です。
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