会社を退職した後も治療や入院の必要があり、傷病手当金の継続受給を希望する方にとって、「配偶者の扶養に入っても傷病手当金は受け取れるのか?」という疑問は非常に重要です。今回は、扶養と傷病手当金の関係を整理しながら、退職後も安心して給付を受けられる条件についてわかりやすく解説します。
傷病手当金とは?基本の仕組みをおさらい
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働けない場合に、給料の約3分の2相当が支給される制度です。原則、連続する3日間の待機期間後、4日目から最長1年6カ月間にわたり支給されます。
会社を退職後も一定の条件を満たしていれば、在職中の健康保険から継続して給付を受けられる可能性があります。
退職後も傷病手当金を受け取るための条件
退職後も傷病手当金を受け取るには、退職日の時点で傷病手当金の支給要件を満たしている必要があります。具体的には以下の通りです。
- 退職日の前日までに傷病手当金の支給が始まっている
- 退職日に被保険者資格がある(保険証の有効期間内)
- 継続して療養し、労務不能の状態が続いている
これらをすべて満たしていれば、退職後も最大で1年6カ月の範囲内で傷病手当金を受け取り続けることが可能です。
配偶者の扶養に入ると傷病手当金は受け取れない?
結論から言うと、扶養に入っても傷病手当金は受け取れます。扶養に入る=国民健康保険や任意継続に切り替えることと混同されがちですが、傷病手当金は「退職前に加入していた健康保険の権利」に基づいて支給されます。
配偶者の扶養に入った後であっても、傷病手当金の支給要件を満たしている限り、支給に影響はありません。ただし、健康保険組合によって書類提出の手順などが異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
具体例:退職後に手術・入院するケース
例:6月末で退職、7月中旬〜8月中旬に入院予定という方の場合、以下のような流れになります。
- 6月:欠勤期間中の傷病手当金を申請(この時点で支給が始まる)
- 7月以降:退職後も引き続き傷病手当金を受給可能(継続支給要件を満たしていれば)
- 7月中旬:入院し、引き続き労務不能であることを医師が証明
- 8月:療養が継続する限り、支給も継続
扶養入りの申請をしても、手当金の継続には影響しません。
注意すべき点と手続きのポイント
傷病手当金の継続には定期的な申請が必要です。退職後の手続きは自分で行う必要があるため、必要書類(傷病手当金支給申請書・医師の意見書など)を早めに準備しておきましょう。
また、申請にはタイムラグがあるため、手当金の振込まで1~2カ月程度かかることもあります。生活費の計画も併せて立てておくと安心です。
まとめ:扶養に入っても傷病手当金は継続可能
退職後に配偶者の扶養に入っても、傷病手当金は支給要件を満たしていれば継続して受給できます。大切なのは、「退職時点で既に支給が始まっているかどうか」と「医師の労務不能証明」があるかどうかです。
不安な場合は、退職前に会社の人事担当または健康保険組合に確認し、退職後の流れを把握しておくことをおすすめします。
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