老後の生活を支える大切な収入源である老齢年金。しかし、実際に年金を受け取るようになると、「なぜ税金が引かれるの?」という疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、老齢年金に所得税や住民税がかかる仕組みと、その税負担を軽減する方法について、わかりやすく解説します。
老齢年金は「雑所得」として課税対象に
老齢年金は、年金受給者にとって所得の一種であり、税法上は「雑所得」に分類されます。つまり、所得税法に基づいて、一定の収入額を超えると課税の対象となる仕組みになっています。
ただし、全額が課税されるわけではなく、「公的年金等控除」と呼ばれる所得控除が適用されるため、年金収入が一定額までであれば税金はかかりません。
いくらまでは非課税?年金に対する控除の仕組み
2024年現在、65歳以上の方であれば、公的年金の年間受給額が158万円以下であれば所得税は非課税です。住民税についても、年間で約120万円~140万円程度までなら非課税となる自治体が多いです(正確には自治体ごとに異なる)。
たとえば、年金収入が180万円ある場合、65歳以上の方であれば「公的年金等控除」が120万円適用され、課税対象となる所得は60万円。その上でさらに基礎控除や配偶者控除などが差し引かれます。
住民税がかかるのはなぜ?所得税と住民税の違い
住民税は都道府県や市区町村に納める地方税で、前年の所得に基づいて課税されます。老齢年金も雑所得として申告されるため、一定額を超えると住民税が発生します。
たとえば、前年の年金収入が160万円であれば、自治体によっては住民税の課税対象になります。控除額や非課税基準は地域差があるため、詳細はお住まいの市区町村役場に確認しましょう。
確定申告が必要になるケースとは?
原則として、年金受給者で年金収入のみの場合、所得税が源泉徴収されているため、確定申告は不要です。ただし、以下のようなケースでは申告が必要になります。
- 年金以外に給与所得や不動産収入がある場合
- 医療費控除や寄附金控除などを受けたい場合
- 年金の源泉徴収で税額が多く引かれている場合(還付申告)
正しく申告すれば、払いすぎた税金が戻ってくる可能性もあるため、毎年の収支を確認しておくことが大切です。
税負担を軽減するための具体的な対策
老齢年金に対する課税を最小限に抑えるためには、以下のような工夫が有効です。
- 扶養控除・配偶者控除の活用:扶養家族がいる場合には控除が増え、課税所得を減らせます。
- 医療費控除の適用:年間の医療費が一定額を超えた場合、控除対象になります。
- ふるさと納税などの寄附金控除:寄附を通じて税負担を軽減できる制度も活用可能です。
まとめ:老齢年金の課税を理解し、賢く対応しよう
老齢年金は非課税だと誤解されがちですが、一定額を超えると所得税や住民税の課税対象となります。正しい知識をもとに、自分の年金額と控除額を確認し、必要に応じて申告や対策を行うことで、税負担を軽減することが可能です。税制度は毎年見直される可能性があるため、最新情報は国税庁のサイトや税理士への相談を通じて得るようにしましょう。
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