月収1000万円という高所得者層にとっても、社会保険料の仕組みは非常に重要な要素です。特に保険料には「上限」が設定されており、実際に天引きされる金額は収入に比例して増えるわけではありません。本記事では、高収入の方が支払う社会保険料の目安と、上限の仕組み、そして注意点についてわかりやすく解説します。
社会保険料の構成とは?
社会保険料は主に以下の5つで構成されています。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料(40歳〜64歳)
- 雇用保険料
- 労災保険料(会社負担)
このうち、個人が直接負担するのは健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険の4つであり、いずれも給与から天引きされます。
社会保険料には上限がある
実は月収1000万円あっても、社会保険料の計算に使用される「標準報酬月額」には上限が設けられています。2024年現在、厚生年金保険の上限は「65万円」、健康保険は地域や組合により異なりますが、おおむね「139万円」が上限です。
そのため、月収が100万円を超えていても、社会保険料は最大で一定額までしか徴収されません。つまり、「どこまでも保険料が増える」わけではないのです。
実際に支払う社会保険料の目安
例えば、東京都の協会けんぽ(健康保険)に加入している40歳の人を例にした場合。
- 標準報酬月額:139万円(健康保険)
- 健康保険料率:9.84%
- 介護保険料率:1.73%
- 厚生年金保険料率:18.3%(上限月額65万円)
- 雇用保険料率:0.6%(一般)
これらを元に個人負担分を概算すると、おおよそ以下の通りです。
項目 | 月額(概算) |
---|---|
健康保険 | 約68,376円 |
介護保険 | 約12,047円 |
厚生年金 | 約59,475円 |
雇用保険 | 約6,000円 |
合計:約145,898円/月(2024年4月時点、個人負担分)
会社負担分も含めた実負担額
なお、社会保険料は企業と労働者が折半するため、企業側も同額以上を負担しています。したがって、企業から見れば、実際には約29万円以上を社会保険として支払っている計算になります。
この点は、自営業やフリーランスの方が国民年金・国民健康保険を自費で支払う場合との大きな違いでもあります。
節税対策としての活用方法
高所得者が社会保険料を節約する方法として、役員報酬の調整や法人化による所得分散などの戦略がありますが、いずれも合法的な枠組み内での対策が前提です。社労士や税理士との相談を通じて最適な設計を行うことが重要です。
特に厚生年金の受給額に影響を与える可能性もあるため、短期的な節約だけでなく、将来の年金受給額も踏まえたバランスのある判断が求められます。
まとめ:高収入でも社会保険料は一定の範囲で決まる
月収1000万円という高額収入でも、社会保険料には上限が設定されているため、実際の負担額は月15万円程度にとどまります。ただし、会社負担も含めると倍以上のコストがかかっているため、経営者目線では見逃せないコスト構造です。
社会保険制度は複雑ですが、制度の仕組みを理解することで賢く活用する道も開けます。適切な専門家への相談も取り入れながら、制度を味方につけていきましょう。
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