失業中の国民年金の支払い負担を軽減するために「失業等による特例の免除・納付猶予制度」を活用することができます。この記事では、免除の種類、申請方法、メリット・デメリット、就職後の手続きについて詳しく解説します。
国民年金の免除・納付猶予制度とは?
失業などで収入が減少し、国民年金の支払いが難しい場合、申請をすれば保険料の一部または全額を免除、もしくは支払いを猶予することができます。
免除には以下の4種類があります。
免除区分 | 納付する金額 | 年金額への影響 |
---|---|---|
全額免除 | 0円 | 年金額の1/2が反映 |
3/4免除 | 1/4を納付 | 年金額の5/8が反映 |
半額免除 | 1/2を納付 | 年金額の3/4が反映 |
1/4免除 | 3/4を納付 | 年金額の7/8が反映 |
免除の種類は選べるのか?
免除の種類は申請者が自由に選択できるわけではなく、前年の所得や世帯主の収入、配偶者の収入に基づいて決定されます。
たとえば、前年度の所得が一定の基準以下であれば「全額免除」、それより少し高ければ「3/4免除」など、段階的に決まります。
免除・猶予を申請した場合の将来の年金への影響
免除や猶予を受けると、将来受け取る年金額に影響があります。
- 免除の場合、納付した金額に応じた割合の年金額が反映されます。(例:全額免除なら本来の1/2)
- 納付猶予の場合は年金額にまったく反映されません。
しかし、免除・猶予を受けた期間は「受給資格期間」にカウントされるため、年金受給資格の確保には有効です。
10年以内の追納で満額にできる
免除を受けた期間については、10年以内であれば追納することで、本来の年金額を確保することができます。ただし、追納する場合は免除を受けた時点の金額ではなく、追納時の保険料が適用されるため、早めの追納が有利です。
免除・猶予制度のメリット・デメリット
メリット
- 保険料の支払い負担を軽減できる
- 免除を受けた期間は年金受給資格にカウントされる
- 追納することで満額受給が可能
デメリット
- 免除の範囲に応じて将来受け取る年金額が減る
- 納付猶予を選択した場合、年金額に反映されない
- 10年以内に追納しないと減額されたままとなる
就職後の健康保険・年金の移行手続き
就職先で健康保険と厚生年金に加入する場合、新しい勤務先が手続きをしてくれるのが一般的です。ただし、自分で国民健康保険・国民年金の脱退手続きを行う必要があるケースもあります。
手続きの流れ
- 就職先で社会保険加入の手続きを行う
- 勤務先から「健康保険資格取得届」「厚生年金加入届」が提出される
- 新しい保険証が発行されたら市役所で国民健康保険の脱退手続きを行う
- 国民年金から厚生年金に自動的に切り替わるため、特別な手続きは不要
まとめ
失業期間中の国民年金の免除・納付猶予制度を活用することで、支払い負担を軽減しつつ将来の年金受給資格を維持することができます。
- 免除の種類は所得によって決定される
- 免除期間は年金受給資格期間にカウントされるが、支給額には影響がある
- 10年以内の追納で本来の支給額に戻せる
- 就職後の社会保険への移行は勤務先が手続きを行う
制度を正しく理解し、将来の年金受給に影響が出ないよう計画的に対応していきましょう。
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