年収600万円の会社員が確定拠出年金(iDeCoなど)に年間24万円を拠出した場合、所得税・住民税の節税だけでなく、社会保険料の軽減効果も期待できます。本記事では、社会保険料の算出方法や減額効果のシミュレーション、注意点までを詳しく解説します。
確定拠出年金は「所得控除」で税負担を減らす
確定拠出年金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額が所得控除の対象になります。年収600万円の方が24万円を拠出した場合、課税所得が24万円分減るため、所得税と住民税の負担が軽減されます。
例:課税所得が500万円の場合、所得税20%・住民税10%であれば、約72,000円の税負担が軽減されます。
社会保険料は「標準報酬月額」で決まる
社会保険料(健康保険・厚生年金など)は、年収ではなく「標準報酬月額」に基づいて決定され、年に1回の「定時決定(6月提出)」などで見直されます。この金額は、月給+諸手当+賞与などの平均から算出されるため、年収600万円であれば、おおむね月収50万円程度で評価されます。
そのため、確定拠出年金の拠出による年収の実質減額(24万円)は、月2万円の給与減額とみなされない限り、標準報酬月額には影響しないことが一般的です。
社会保険料の減額は限定的だがゼロではない
一部の企業型確定拠出年金(DC)では、給与天引き扱いで企業がマッチング拠出を行う場合、拠出額が給与扱いにならず、標準報酬月額が低く見積もられることもあります。これにより、保険料負担が年間数千円~数万円単位で軽減されることもあります。
ただし、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出は会社給与に影響を与えないため、社会保険料には基本的に影響がありません。
節税シミュレーション:年収600万円・iDeCo拠出24万円
項目 | 金額 |
---|---|
所得税の節税効果(20%想定) | 48,000円 |
住民税の節税効果(10%想定) | 24,000円 |
社会保険料の影響 | ほぼ変わらず(例外あり) |
合計の節税効果 | 約72,000円 |
社会保険料の減額はiDeCoでは基本的に発生しない点に留意しましょう。
社会保険料が軽減される可能性があるケース
以下のような状況では、確定拠出年金が社会保険料に影響を与えることもあります。
- 企業型DCで給与からのマッチング拠出をしている
- 企業が掛金を支払っており、その金額分が給与扱いにならない
- 標準報酬月額の区切りが境界線上(例:月49万円→47万円へ)
これらのケースでは、社会保険料が月数千円減額されることもあります。
まとめ:社会保険料よりも「所得控除による節税効果」に注目
年収600万円で年間24万円を確定拠出年金に拠出した場合、所得税・住民税あわせて約72,000円の節税が見込めます。ただし、社会保険料の計算方法が異なるため、社会保険料の減額効果は基本的に期待できないと考えましょう。
社会保険料の軽減を狙うのであれば、標準報酬月額の区切りに注意しつつ、企業型DCなど制度の違いも確認しておくことが重要です。
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