高齢の家族が受給している年金額が突然大きく減額されると、「何かの間違いでは?」と戸惑う方も少なくありません。特に、生活設計にも関わる遺族年金の大幅な変更は、心配の種になりやすいものです。本記事では、遺族厚生年金の支給額が減額される主な理由や、確認すべき書類、考えられる所得の影響について詳しく解説します。
遺族厚生年金の支給額が変更されるケースとは?
遺族厚生年金は原則として配偶者の収入に関係なく支給されますが、一定の条件下では支給額が減額または停止されることがあります。以下のようなケースが該当します。
- 年金受給資格の再審査(扶養状況や生計維持関係の変化)
- 他の年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)との併給調整
- 所得の増加に伴う加算部分の減額
- 年金制度上の自動調整(物価スライド、再評価など)
特に、90代で老齢年金との併給がある場合、「支給停止調整変更通知書」や「適用通知書」が届くことで変更が反映されることがあります。
併給調整による減額の可能性に注意
遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方を受給している場合、「年金併給調整」が適用されることがあります。これは、支給総額が一定の基準を超えると、どちらかの年金が減額される仕組みです。
たとえば、年間約190万円の遺族年金と別に老齢厚生年金を受け取っていた場合、合算の影響で年金額の再調整が行われることがあります。この際に届くのが「支給額変更通知書」や「適用通知書」で、変更理由の欄に「支給調整」などの文言が記載されていることが多いです。
不動産収入は年金に影響するのか?
基本的に、遺族厚生年金自体は所得制限がなく、不動産収入が直接の減額理由になることはありません。ただし、以下のような関連制度には影響を与えることがあります。
- 住民税の課税に伴う福祉制度の利用制限(医療費助成や介護保険負担割合など)
- 寡婦年金や特別遺族年金の一部で所得制限が設けられているもの
今回のように、年間200万円程度の不動産収入がある場合、それ自体が遺族厚生年金の減額要因になることはほぼ考えられません。ただし、「他の年金との調整」や「年金受給条件の再評価」に付随して影響が出るケースはあり得ます。
支給額変更通知書・適用通知書の読み解き方
年金事務所から届く「支給額変更通知書」や「年金額改定通知書」には、変更理由が記載されている欄があります。ここには以下のような表記があります。
- 支給停止調整対象額の変更
- 老齢厚生年金との調整
- 加給年金の支給停止
また、「適用通知書」は年金の受給内容や計算根拠が改めて決定された際に送られるもので、併給調整や繰上げ・繰下げの確認が行われた証明でもあります。
不明点がある場合は、通知書を持参して年金事務所で説明を受けるのが一番確実です。
実例:90代女性の年金が減額されたケース
Iさん(92歳・女性)は、夫の遺族厚生年金を年間190万円受け取っていましたが、突如110万円まで減額。理由を確認すると、本人が長年繰下げ受給していた老齢厚生年金が支給開始となり、遺族厚生年金と調整が行われた結果、併給上限を超えた分が差し引かれていたことがわかりました。
このように、高齢者の場合でも繰下げ分が支給開始されるタイミングで遺族年金の見直しが入ることがあります。
まとめ:遺族年金の減額は他の年金や制度との調整がカギ
遺族厚生年金が大幅に減額される原因としては、老齢厚生年金との併給調整や年金制度の自動見直しが多くを占めます。不動産収入だけで年金が減額されることは原則ありませんが、通知書の記載内容をきちんと確認し、不明点は年金事務所に相談することが大切です。
制度は複雑であっても、正確に把握することで安心して暮らしを守ることができます。
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