週20時間以上・年収130万円未満でも社会保険加入?制度改正で変わる保険の境界線

社会保険

近年の年金制度改革により、パートやアルバイトなど短時間労働者の社会保険加入範囲が大きく拡大しています。とくに「週20時間以上」「年収130万円未満」という条件に当てはまる方は、加入の有無や保険料負担について混乱することも少なくありません。この記事では、その疑問を制度の変更点とともにわかりやすく整理していきます。

従来の社会保険加入条件と改革の背景

これまで社会保険(健康保険・厚生年金)の加入は、正社員や週30時間以上働く人を中心とした制度設計でした。しかし、非正規労働者の増加を受け、2016年以降段階的に「週20時間以上・月収8.8万円以上・勤務先501人以上」などの要件が導入され、2022年以降は企業規模要件の撤廃が進行中です。

つまり、今後は「週20時間以上働くなら、企業規模を問わず原則として社会保険に加入」という方向に制度が動いています。

130万円の壁と扶養との関係性

「年収130万円未満であれば扶養に入れる」という考えは、被扶養者としての健康保険の話です。親や配偶者の扶養に入っている場合、本人が一定の収入を超えると扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要があります。

しかし、制度改正により「勤務先で社会保険加入の条件を満たしていれば、扶養関係にかかわらず会社の保険に加入する」ことになります。つまり、年収が130万円未満でも、週20時間以上かつ所定の条件を満たせば会社の健康保険・厚生年金に強制加入となります。

社会保険加入時の保険料負担について

社会保険に加入した場合、保険料は原則として労使折半となります。これは健康保険料と厚生年金保険料の両方が対象です。

例として、月収9万円で勤務する場合、概算の社会保険料は以下の通りです(地域・保険組合により差異あり)。

  • 健康保険:約4,000円
  • 厚生年金:約8,000円
  • 合計:約12,000円(自己負担分)

一見高く感じるかもしれませんが、厚生年金加入によって将来の年金受給額が増え、また傷病手当金や出産手当金などの制度を利用できるというメリットもあります。

国民年金や国保との比較

もし社会保険に加入しない場合、国民健康保険と国民年金への加入が必要になります。どちらも全額自己負担で、国民年金保険料は月16,980円(2024年度)です。

つまり、社会保険に加入しているほうが保険料の総額は抑えられるケースも多いのです。また、社会保険は会社側が手続きをしてくれる点も利便性があります。

FP試験対策として知っておきたいポイント

FPの勉強においてもこの点はよく問われます。「週20時間以上勤務・賃金月額8.8万円以上・継続見込み1年以上・学生でない」などの要件を覚えておくと、制度の理解がスムーズになります。

また、扶養に関する「130万円未満」の基準と、社会保険加入要件とは必ずしもリンクしていないことも注意点として覚えておきましょう。

まとめ:制度の目的を理解し、自分に合った判断を

週20時間以上働くと原則社会保険に加入する時代が到来しています。年収130万円未満でも、勤務形態によっては加入義務が発生し、扶養でいることができなくなります。これにより保険料の自己負担は増えるものの、老後や病気への備えが厚くなるメリットもあります。

今後も制度は段階的に変わっていく可能性があるため、厚生労働省や勤務先の人事部門から最新の情報を得ることが大切です。知識として正しく理解し、生活やキャリアに役立てていきましょう。

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