転職や失業などで一時的に国民年金の支払いが難しかった時期がある人は多くいます。後に送られてくる「追納案内」を見て「これ、払ったほうがいいの?」と迷う方も少なくありません。本記事では、過去の未納期間を追納することで何が変わるのか、どんなメリット・デメリットがあるのかをわかりやすく解説します。
そもそも追納とは?未納と免除の違いも理解しよう
追納とは、免除された国民年金保険料を後から納めることです。未納とは異なり、申請して承認されたうえでの免除は、将来の年金受給資格にカウントされますが、年金額は減額されます。追納することで、その減額分を取り戻すことができます。
たとえば、全額免除を受けた場合、その期間は本来の保険料の「2分の1」のみを将来の年金額に反映する仕組みになっています。追納すればこの反映率を100%に戻せます。
追納するメリット:老後の年金額が増える
追納の最大のメリットは、将来受け取る老齢基礎年金額が増えることです。2024年度の支給水準では、1ヶ月分の保険料(約16,520円)を追納すると、およそ年額で200円程度、老齢年金が増えます。
6ヶ月間で約10万円の追納をすれば、年金受給額が年間約1,200円程度上乗せされます。仮に20年受給すると考えると、2万4千円の増加となり、金額面で元が取れるまでに40年近くかかる可能性がありますが、長寿化時代では現実的なラインです。
デメリットや注意点:時効や加算金にも要注意
追納には時効があります。原則として、免除を受けた期間から10年以内でないと追納できません。それ以降は納付ができず、将来の年金額にも影響を及ぼします。また、3年を超えて追納する場合は、当時の保険料に加えて加算金が上乗せされます。
今回のように「10年前の未納」への追納案内が届いたということは、おそらく時効直前で、期限が近い可能性が高いです。案内文書に記載の期限をよく確認しましょう。
免除されていた場合と未納だった場合の違い
申請して「免除」を受けていたのであれば、未納とは異なり、受給資格にカウントされます。そのため、老後の年金を受け取るうえでの資格年数には影響しません。しかし年金額には減額があるため、追納によりその分を補うという判断になります。
一方で、未納のままだった場合は、受給資格にも影響を与えるため、できるだけ追納することが望ましいとされます。ただし、すでに「納付猶予」や「学生納付特例」だった場合も含めて、自分のケースがどの制度に該当するかは、日本年金機構に確認するのが確実です。
追納を判断するためのチェックポイント
- 老後の年金を少しでも増やしたいか
- 今の経済状況で10万円の支払いが無理でないか
- 追納案内の期限が迫っていないか
- 免除制度の種類(全額免除、半額免除など)を把握しているか
これらを踏まえて、無理のない範囲で将来のために備えるのが賢い選択です。
まとめ:追納は「未来の自分への投資」として検討を
国民年金の追納は、年金額を増やすための有効な手段ですが、今の家計に無理がないか、そしてその支払いが将来どのように返ってくるかを見極めることが大切です。「たった数千円の年金増額」と思わず、長期的な視点でじっくり考えてみてください。迷った場合は、年金事務所や社会保険労務士に相談して、正しい判断を下しましょう。
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