退職後に傷病手当金の申請をする際、申請書の中にある「事業主記入欄」の扱いで戸惑う方は少なくありません。特に退職時の人間関係や状況によって、スムーズに記入依頼ができないケースもあります。この記事では、事業主記入欄の正しい取り扱いと、代理記入・プライバシーに関する留意点について詳しく解説します。
事業主記入欄とは何か?目的を理解する
傷病手当金の申請書には「事業主記入欄」があり、これは被保険者の勤務実態や給与支払いの有無などを証明するために使用されます。企業側が事実を正確に記載することが求められており、本人による記入は不可です。
この欄は、企業側の“責任ある立場”の者によって記入・押印されることが望ましく、一般的には代表者・経理担当者・社会保険手続き業務を担う部署が対応します。
誰が記入してもよいのか?代理記入の実態
法律上、必ずしも「社長」や「経理」の肩書のある人が書く必要はありませんが、企業が責任をもって内容を記載できる者である必要があります。そのため、たとえパートタイマーが記入したとしても、企業内の業務として許可された範囲であれば形式的には問題にならないこともあります。
ただし、企業の信用や書類の信頼性の観点からは、社労士や経理担当、または役員クラスが記入するのが望ましいとされます。
個人情報・プライバシーへの配慮は必要
申請者の健康状態や傷病名など、プライバシーに関わる情報を含む申請書を、申請者の意向を無視して第三者が閲覧・記入することには注意が必要です。たとえ企業内であっても、業務上の必要性がない人物に内容を共有することは好ましくありません。
本来であれば、依頼された人が直接記入し、その内容が外部に漏れないよう配慮することが企業側の責任です。
税理士や社労士への依頼は可能
会社に対して記入依頼をしたものの、対応に不安がある場合は、会社と契約している税理士や社労士が代理で記入することもあります。ただし、この場合でも企業の了承が必要であり、勝手に外部へ依頼することはできません。
依頼時には、誰が記入するのかを明確に伝え、希望がある場合はその旨を文書で残すのがよいでしょう。
トラブル回避のための具体的対策
- 事前に「誰が記入するか」を明示し、了解を得る
- 必要があれば「社労士や税理士による記入を希望」と書面で伝える
- 返送時に記入者名を確認し、違和感があれば問い合わせる
また、企業とのやりとりはできる限りメールや書面などの記録に残す形にすると、後々のトラブル防止になります。
まとめ:円滑な申請のためには信頼と記録が鍵
事業主記入欄は企業の信頼性を示す重要な部分であり、記入者の選定は慎重に行うべきです。たとえ辞めた会社であっても、元従業員の生活に関わる重要な書類として丁寧に対応すべきです。
依頼時には記録を残し、記入者の指定がある場合は明確に伝えることで、プライバシー保護とトラブル回避につながります。
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