ATMで新紙幣ばかり出てくる理由とは？旧紙幣との流通バランスと仕組みを解説

2024年から新紙幣の流通が本格的に始まり、銀行やATMから新紙幣を受け取る機会が増えたという声が聞かれるようになりました。では、なぜ新紙幣ばかりが出てくるのか？旧紙幣はもう見かけないのか？その背景にある日本銀行と金融機関の仕組みについて解説します。

新紙幣はどのように流通するのか

新紙幣はまず日本銀行から民間の金融機関へ供給されます。金融機関は、ATMや窓口の現金補充を通じて新紙幣を私たちの手元に届けています。このため、特に発行から1〜2年は新紙幣が優先的に出回りやすい傾向があります。

ATMの中に新紙幣が優先的に補充されているケースが多く、特に都市部や大手銀行では「10枚中10枚すべて新紙幣」というケースも珍しくありません。

旧紙幣は法的には引き続き有効な通貨であり、使用にも問題ありません。ATMによっては新旧混合で出てくることもあります。地方の金融機関や現金の回転が遅い地域のATMでは、旧紙幣が長く使用され続けることがあります。

また、店舗のレジや自販機でも旧紙幣は引き続き利用可能であり、紙幣識別機も対応を継続しています。

ATMが新紙幣を出す仕組みは、金融機関の現金管理方針によるものです。新札を優先して供給する理由には以下のようなものがあります。

特に大手都市銀行のATMは、新紙幣を大量に仕入れているため、旧紙幣に出会う機会は相対的に減少します。

旧紙幣は段階的に市場から姿を消していきますが、これは自然な入れ替わりであり、急激な「使用不可」にはなりません。日本銀行は旧紙幣の回収を進めながら、数年かけて徐々に新紙幣へと置き換えていく方針です。

なお、金融機関が回収した旧紙幣は、日本銀行に戻され、再利用可能なものは一部保管されますが、多くは最終的に廃棄されます。

今後、ATMやレジなどで旧紙幣に出会う機会は徐々に減っていく見込みです。2025年現在では、特に1万円札や5千円札では新紙幣が占める割合が高くなってきており、旧紙幣が「レア枠」になるのは自然な流れといえるでしょう。

ただし、地方ATMや個人間の現金取引では旧紙幣が依然使われる場面も残っています。

ATMから新紙幣が出てくるのは、新紙幣の供給が金融機関に行き届き、順調に流通している証です。旧紙幣が出ないのは異常ではなく、むしろ「通常の経過」として捉えるのがよいでしょう。

一方で、旧紙幣もまだしばらくは併用されるため、目にする機会はゼロにはなりません。日常生活で新旧紙幣を区別することに神経質になる必要はなく、安心して使用できる環境が整っています。