アルバイト面接の際に「社会保険に加入する必要がある」と言われたとき、自分にとって負担が大きいと感じることは少なくありません。特に収入が少ない人にとっては、健康保険や厚生年金の天引きが家計に重くのしかかることもあります。本記事では、アルバイトでの社会保険加入の義務や、加入回避が可能な条件などをわかりやすく解説します。
社会保険はすべて義務?加入の基本ルール
会社が用意する社会保険には、主に以下の4つがあります。
- 健康保険(協会けんぽなど)
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
このうち健康保険と厚生年金は、条件を満たすと強制加入となります。原則として、週の労働時間が正社員の4分の3以上(おおむね30時間以上)の場合、加入義務が発生します。
一方で、雇用保険は週20時間以上勤務が要件となり、労災保険は勤務時間にかかわらず全員強制加入です(労働者を1人でも雇用していれば)。
健康保険・厚生年金に入りたくないときの回避条件
アルバイトで健康保険と厚生年金を回避したい場合は、以下の条件を避ける必要があります。
- 週20時間以上勤務しない
- 月額賃金88,000円以上に該当しない
- 勤務期間が2ヶ月を超えない(見込みも含む)
- 学生である
特に注意したいのが、「2ヶ月以内の短期雇用であっても、延長される見込みがあれば対象になる」という点です。最初は短期の予定でも、継続前提で雇用される場合は加入義務が発生します。
国民健康保険・国民年金と会社の社会保険は重複不可
すでに国民健康保険や国民年金に加入している人でも、会社の健康保険・厚生年金の対象となった場合は自動的に切り替えとなります。会社の保険に加入すると、市区町村の国民健康保険と年金は「脱退」扱いになり、保険料支払いも不要になります。
免除や減免のメリットがあるからといって、会社の保険を断ることは法律上できません。加入対象者は、事業主にそのまま手続きされ、保険料が給与から天引きされます。
雇用保険と労災保険は原則加入
雇用保険は週20時間以上の勤務があれば強制加入です。自己都合退職時の失業手当や育児休業給付など、将来的な給付を受ける可能性があるため、加入しておくメリットも少なくありません。
労災保険は、バイト中の事故・ケガを補償する制度で、労働者全員が自動的にカバーされます。保険料は会社負担であり、本人の負担はありません。
免除や軽減措置の継続はできる?
たとえば「国民年金の全額免除」を受けていた人でも、厚生年金に加入すると自動的に切り替わり、免除は無効となります。ただし、将来的な年金受給額は厚生年金のほうが有利なため、長期的にはプラスになることも。
また、国民健康保険料が軽減されていた人でも、会社の健康保険では所得に関係なく一定の料率で保険料が決まるため、急に保険料負担が増えることがあります。
まとめ:条件を満たせば社会保険は原則加入、交渉での回避は不可
アルバイトでも、労働時間や賃金の条件を満たせば健康保険・厚生年金・雇用保険の加入は法律で義務づけられており、本人の意思で回避することはできません。雇用形態や労働時間を見直すことで、加入条件を避けることは可能ですが、会社との交渉で保険加入そのものを断ることはできない点に注意しましょう。
自身の生活状況や将来の見通しに応じて、保険制度のメリット・デメリットをよく理解し、必要があれば社会保険労務士などの専門家にも相談することをおすすめします。
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