近年、育児支援制度の充実が進む中で「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が話題となっています。この制度では一定期間、給与の100%が支給されるケースもあり、家計にとっても安心材料となります。では、その育休が社会保険料の計算にどう影響するのか、特に標準報酬月額への影響について解説します。
標準報酬月額の決まり方とは?
標準報酬月額は、社会保険料の算出基準として使用され、毎年「4月・5月・6月」の3か月間の実際の報酬(月額)を平均して算出されます。これをもとに、9月に新しい保険料額が決まります(これを「定時決定」と呼びます)。
ここでいう報酬には、基本給のほか、残業代、通勤手当なども含まれます。つまり、通常の勤務で受け取る給与総額がベースになるわけです。
産後パパ育休中の給与は「報酬」として扱われるか?
育休中に給与が支払われる場合、その金額は原則として報酬とみなされます。とくに企業が産後パパ育休中に100%の給与を支払う場合、その月の給与は通常勤務と同じく報酬としてカウントされ、標準報酬月額の計算対象になります。
そのため、育休を取得していても、給与が支払われていれば、その分は他の月と同様に扱われ、保険料の計算に影響します。
具体例:育休4週間+通常勤務の日数
たとえば、4月の初めの4週間を産後パパ育休で過ごし、その後の数日間通常勤務をしたとします。給与が月給制であれば、基本的に欠勤控除がなければ満額支給され、4月分の報酬は通常通りの金額になります。
結果として、4月・5月・6月の報酬合計額を3で割った金額で標準報酬月額が決まるため、育休中であっても給与が支払われていれば、それは「影響なし」と見なされます。
報酬が下がるケースに注意
ただし、企業によっては育休中に一部給与が支払われない、あるいは日割り計算で減額されるケースもあります。そうした場合、4月分の報酬が他の月よりも低くなることで、平均値が下がり、結果的に標準報酬月額が引き下がる可能性があります。
また、報酬が下がると将来の年金額にも影響するため、注意が必要です。
標準報酬月額を下げない工夫は可能?
会社によっては「報酬が一時的に下がっても、生活保障の観点から調整給を支給する」などの措置をとっているところもあります。もし育休中の給与が減額される場合は、会社の人事や給与担当に事前に相談しておくと良いでしょう。
また、標準報酬月額の決定には「固定的賃金の変動」や「大幅な報酬変動」があった場合には随時改定や月変(げっぺん)の対象になることもあります。こちらも確認しておくと安心です。
まとめ:育休中も給与支給があれば保険料計算に影響しない
産後パパ育休を取得していても、給与が100%支給されていれば、それは通常の報酬と同様に扱われ、標準報酬月額の計算に含まれます。したがって、4月に育休を取りつつ給与が支払われていれば、5月・6月と合わせた平均で保険料が決定されます。
一方で、給与が減額される場合は注意が必要です。退職や昇給・降給などとも絡む話ですので、自分の働き方に合った対応を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
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