雇用延長と厚生年金:65歳以降の保険料は年金額にどう影響する?

社会保険

高齢期の働き方が多様化する中、65歳以降も働き続ける方が増えています。特に、70歳までの雇用延長を選択する場合、厚生年金の保険料を納め続けることになりますが、その分が将来の年金額にどのように反映されるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

65歳以降の厚生年金加入と年金額の増加

65歳以降も厚生年金に加入して働く場合、その期間の保険料納付は「在職定時改定」により年金額に反映されます。具体的には、毎年9月1日時点で厚生年金に加入していると、翌年の10月分から年金額が再計算され、増額されます。

例えば、標準報酬月額が30万円の方が65歳から70歳まで働き続けた場合、5年間での年金増額は以下のように試算されます。

  • 報酬比例部分:30万円 × 5.481‰ × 60ヶ月 = 約98,658円
  • 経過的加算:1,652円 × 60ヶ月 = 約99,120円

合計で約197,778円の年金増額となります。これは、月額に換算すると約16,481円の増加です。

保険料納付と年金受給のバランス

65歳以降の厚生年金保険料は、労使合計で標準報酬月額の18.3%です。標準報酬月額が30万円の場合、月額保険料は約54,900円、5年間で約329万円の納付となります。

一方、年金増額分が月額約16,481円であれば、約20年で元が取れる計算になります。平均寿命や健康状態を考慮し、納付と受給のバランスを検討することが重要です。

在職老齢年金制度との関係

65歳以降も働きながら年金を受給する場合、在職老齢年金制度が適用されます。令和7年度の支給停止調整額は51万円で、年金と給与の合計がこれを超えると、超過分の半額が年金から減額されます。

例えば、年金月額が20万円、給与が35万円の場合、合計55万円となり、超過分の4万円の半額、2万円が年金から減額され、実際の年金受給額は18万円となります。

70歳到達時の年金額再計算

70歳に到達すると、厚生年金の被保険者資格を喪失し、保険料の納付義務も終了します。この時点で、それまでの加入期間が年金額に反映され、再計算されます。これを「退職改定」と呼びます。

退職改定により、70歳以降の年金額が増加し、在職老齢年金の支給停止も解除されるため、年金の全額を受給できるようになります。

まとめ

65歳以降も働き続けることで、厚生年金の保険料を納めることになりますが、その分は年金額の増加として反映されます。具体的な増額額や元を取るまでの期間は、標準報酬月額や加入期間によって異なります。

在職老齢年金制度や退職改定の仕組みを理解し、自身のライフプランに合わせた働き方と年金受給のバランスを考えることが重要です。詳細なシミュレーションや相談は、最寄りの年金事務所で行うことをおすすめします。

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