長年勤めた会社を退職すると、健康保険の切り替えが必要になります。特に失業給付を受ける予定がある方や、一人暮らしで生活費のやりくりが気になる方にとって、「任意継続」と「国民健康保険」のどちらを選ぶべきかは重要な判断ポイントです。今回は年収500万円で正社員を退職した場合を例に、両者の違いや費用感、選び方のポイントを解説します。
任意継続被保険者制度とは?
任意継続とは、会社を退職した後でも最長2年間、在職中と同じ健康保険を継続できる制度です。ただし、保険料は全額自己負担となり、会社の負担分も含めて支払う必要があります。
在職時に月額3万円だった保険料が、任意継続になると約6万円になるというケースも少なくありません。また、退職後20日以内に申請しなければ利用できない点にも注意が必要です。
国民健康保険とは?
国民健康保険(国保)は、市区町村が運営する保険制度で、退職後や自営業者、無職の人などが加入する制度です。保険料は前年の所得や住んでいる自治体によって決まり、所得が大きく減ると減額される仕組みもあります。
失業後の年収が大きく下がる場合、任意継続よりも国民健康保険の方が割安になることが多く、特に年収がなくなる直後は保険料の軽減措置が受けられる可能性があります。
年収500万円からの退職での保険料の目安
年収500万円で退職した場合、任意継続と国保の保険料の違いは以下のような目安になります。
保険の種類 | 月額保険料(目安) |
---|---|
任意継続 | 40,000〜55,000円程度 |
国民健康保険(軽減なし) | 35,000〜50,000円程度 |
国民健康保険(軽減あり) | 15,000〜30,000円程度 |
軽減制度が適用されるかどうかで、保険料は大きく変わるため、市区町村の窓口で試算してもらうことをおすすめします。
失業給付との関係と注意点
失業保険(雇用保険)を受給する場合、所得としてはカウントされません。そのため、前年収入を基に算出される国保の保険料には影響がありますが、翌年の保険料には反映されにくくなります。
また、退職理由が「会社都合」の場合は国保の減免対象となることもありますので、離職票の記載内容が「特定理由離職者」や「倒産・解雇」であるかを確認しましょう。
どちらが安いか判断するためのチェックリスト
- 前年の年収が高いが、今年の収入は減る予定 → 国保の減額が有利な場合が多い
- 自治体の軽減措置や失業者向けの減額制度があるか → 市区町村に確認
- 申請期限に間に合うか(任意継続は退職後20日以内) → 時間との勝負
- 短期間で再就職予定か → 任意継続で一時的に保険をつなぐ
まとめ:正確な比較と早めの相談がカギ
退職後の健康保険は、収入見込みや自治体の制度、生活設計によって最適な選択が変わります。任意継続は保険内容が手厚い一方、保険料が高額になる傾向があります。国民健康保険は減額措置があるものの、申請や制度の理解が必要です。
まずは市区町村の国保担当窓口に相談し、自分のケースでどちらが安くなるのかを確認することが大切です。情報収集を怠らず、安心できる保険選びを行いましょう。
コメント