親を扶養から外す場合の対応は？社会保険と年末調整のポイントを解説

高齢の親と同居・別居を繰り返すなかで、社会保険の扶養の取り扱いに悩まれる方は少なくありません。とくに突然の転居や生活環境の変化があった場合、会社への報告や手続きが必要かどうかは気になるところです。本記事では、親の同居・別居による扶養の変更時に必要な対応をわかりやすく解説します。

社会保険の扶養に関する基本ルール

社会保険の扶養に入れる条件は、主に「同居しているかどうか」「生計維持関係があるか」によって判断されます。たとえば、同居していて収入が年間130万円未満（60歳以上または障害者の場合）であれば、原則として扶養に入れることが可能です。

一方で、扶養から外れる条件もあり、「別居して生計が独立している」状態になると、扶養の対象から外す必要があります。

親があなたと別居し、再び兄弟などと同居して生計も別になる場合は、会社に「扶養異動届」を提出する必要があります。これは社会保険上の手続きであり、早めに行うことでトラブルや不利益を回避できます。

目安としては、同居を解消し、扶養条件に該当しなくなったと判断した時点から5日以内に会社に報告するのが望ましいとされています。

年末調整では、扶養控除申請（所得税）と社会保険上の扶養は扱いが異なります。所得税の扶養控除は、その年の12月31日時点で扶養関係があるかどうかで判断されます。

たとえば、5月に別居して扶養を外す場合、年末までに再度同居・扶養関係が復活しない限り、年末調整でも扶養控除は受けられない可能性があります。そのため、年末調整を待たず、早めの対応が重要です。

家庭環境の変化は誰にでも起こりうることであり、扶養の手続きもその都度適切に対応すれば問題ありません。むしろ、事実を正しく伝え、必要な手続きをきちんと行うことが社会保険制度の健全な運用につながります。

会社の担当者も制度上の変更については慣れているため、必要以上に気にする必要はありません。

親の扶養に関して状況が変わった場合は、速やかに会社に報告し、社会保険の「扶養異動届」を提出する必要があります。また、年末調整に影響する可能性もあるため、変更があれば早めに動くのが賢明です。制度を正しく理解し、冷静に対処していきましょう。