「ある程度の貯蓄があれば医療保険は不要」論に潜む落とし穴とは?長期療養リスクに備える考え方

生命保険

医療保険に対する「ある程度の貯蓄があれば不要」とする意見はよく見かけますが、長期療養や収入喪失に直面した際に果たして本当にそれで十分なのか、改めて見直す価値があります。本記事では、働けなくなったときの生活資金の備えについて、医療保険の必要性を含め多角的に検討します。

医療保険の本質:医療費ではなく収入喪失リスクへの備え

民間の医療保険と聞くと「入院費用の補填」をイメージしがちですが、実はもっと重要なのが長期療養による就労不能リスクです。たとえば、がん・脳卒中・うつ病などは、1年以上にわたって働けなくなる可能性もあり、これが家計に与えるインパクトは計り知れません。

医療保険だけでなく、「就業不能保険」や「所得補償保険」といった商品も活用すれば、収入減への備えがより強固になります。

高額療養費制度だけではカバーできない現実

日本には高額療養費制度があるため、医療費の自己負担は一定額で抑えられます。しかし、生活費や住宅ローン、学費などの「非医療費」は支援対象外です。

たとえば手取り年収500万円の方が1年間働けない場合、その間の収入はほぼゼロになり、家計全体に深刻な影響を与えます。特に家族持ちの方にとっては、「医療費」よりも「生活費の確保」が最大の課題です。

働けなくなったときの備え:3つの手段

  • 貯蓄による備え:理想は生活費2〜3年分の貯蓄。ただし子育て世代や住宅ローン返済中の家庭には現実的に難しいことも。
  • 就業不能保険:月数千円の保険料で月20〜30万円の給付が得られる商品もあります。
  • 企業の福利厚生制度:傷病手当金や休職制度の内容を把握し、保険で足りない部分を補う設計が大切です。

実際の事例:がんによる長期療養のケース

40代男性ががんを発症し、1年間休職したケースでは、医療費そのものは高額療養費制度で抑えられましたが、住宅ローンと生活費で毎月40万円近くが出ていきました。

貯蓄500万円を切り崩して何とか1年間をしのいだものの、翌年以降の教育資金や老後資金に不安を感じ、退職後に就業不能保険へ加入するケースも見られます。

「貯蓄があれば保険不要」論が通じるのはどんな人?

保険が不要と考えられるのは、次のような条件を満たす人に限られます。

  • 生活費2年以上を賄える貯蓄や資産がある
  • 配偶者などの代替収入がある
  • 会社の休職制度や所得補償制度が充実している

これらが揃わない限り、就業不能に対する保険的備えは極めて現実的な選択肢となります。

まとめ:医療保険だけでなく「収入減リスク」への対策を

医療保険の必要性を考える際には、「医療費が出るかどうか」だけでなく、「働けなくなったときに生活をどう維持するか」に視点を広げましょう。特に家族がいる場合や貯蓄が十分でない家庭にとっては、保険によるリスク分散は安心材料となります。

加入を検討する際は医療保険だけでなく、公的な制度や職場の休職制度も確認したうえで、自分の家庭にあった備えを整えましょう。

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