「保険は万が一の備え」とはいえ、過剰に加入してしまうと家計を圧迫し、将来の資産形成にブレーキがかかります。特に、月に5万円以上を保険に支払っている家庭では、“保険貧乏”状態になっている可能性も。この記事では、貯蓄型保険と投資のバランス、家計に合った保険の見直し方、優先すべき資産形成の流れについて解説します。
「保険貧乏」とは?その典型的なパターン
保険貧乏とは、「保険料の支払いに家計が圧迫されてしまい、生活費や貯蓄・投資に十分な余裕が持てない状態」のことを指します。
特に以下のような人は、保険の見直しを検討すべきです。
- 月の保険料が手取り収入の10%以上
- 貯蓄性保険が複数あり、掛け捨て保険と併用している
- iDeCoやNISAに回す資金が足りない
- 将来の学費や老後資金に不安がある
「守るための保険」が、「攻めるべき資産形成」を邪魔してしまうケースは非常に多いのが実情です。
貯蓄型保険を抱えすぎるとどうなるか?
月に42,000円弱を貯蓄型保険に回している場合、年間では50万円以上。仮にこれを10年続けたとしても、元本割れやインフレに負けるリスクは無視できません。
一方、NISAやiDeCoでS&P500などに積立を行えば、年利3〜5%の成長が期待でき、20年で約2倍になる可能性もあります。
つまり、長期視点で見れば「保険=貯蓄」とする考えは、資産効率の面でデメリットが大きくなりがちです。
本当に必要な保険だけを残す考え方
見直しの第一歩は、「保険の役割ごとに分けて考える」ことです。
- 医療保険:60歳払済などの「終身型」はコストが高くなりやすい。
→必要保障期間に応じて見直しを。70歳以降の医療費は高額療養費制度でカバーされる部分も。 - 死亡保険:子どもが小さい間だけ必要なケースが多い
→収入保障型などの掛け捨てが合理的 - 学資保険:元本割れしないことを重視する場合でも、
→返戻率や運用効率を比較し、NISAとの併用も検討すべき
“保険で貯める”より“保険で守り、投資で増やす”が今の時代の基本戦略です。
NISAに資金を回すべき理由とその優先順位
・iDeCo:節税効果が大きく、老後資金の形成に最適
・NISA:流動性があり、将来の教育費・生活費にも柔軟に使える
すでにNISAの運用をしており、評価額がプラスであれば、貯蓄型保険の一部解約や払済化によりNISAへ資金を回す選択肢は十分合理的です。
特に今後収入が減る見込みがある場合は、「固定支出(保険料)」を削ることでキャッシュフローの柔軟性が高まります。
夫婦間で家計管理の温度差がある場合の対策
夫が家計に無関心というケースでは、まずは「数字で見せること」が効果的です。
- 現在の支出一覧(保険、生活費、貯蓄率)を可視化
- 将来の教育資金・老後資金の必要額を試算
- 保険を見直すことで、何にいくら回せるかを具体化
また、無理に全部を話し合うのではなく、「これは子どものための準備だから」など一部から始めるのも有効です。
まとめ:保険の見直しで家計に“呼吸スペース”を
・貯蓄型保険の比率が高すぎると資金効率が悪くなる
・今後の収入減に備えて、固定支出(保険料)を抑える選択が重要
・保険は「守り」に特化し、投資(NISA・iDeCo)は「増やす」に集中する
・夫婦間の温度差は“見える化”と“小さく始める”で乗り越える
資産形成は「気づいたときが見直しのタイミング」です。今のうちに支出を最適化し、将来に向けてお金が“活きる”仕組みを整えていきましょう。
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