アルバイトを始める際、「社会保険に加入しない」と契約書に記載していたにもかかわらず、実際の労働条件によっては社会保険の加入義務が発生することがあります。このようなケースでは、契約書の内容よりも実態が優先されます。この記事では、その理由と対応方法について詳しく解説します。
社会保険の加入条件とは?
社会保険(健康保険・厚生年金)は、労働者の働き方によって自動的に加入義務が発生します。主な基準は以下の通りです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(2024年現在)
- 2か月を超えて継続して雇用される見込み
- 学生ではない
- 従業員数101人以上の企業(小規模企業も条件により対象)
これらの条件に該当すれば、たとえ契約書で「社会保険に加入しない」と書かれていても、自動的に加入対象となります。
契約内容よりも「実態」が優先される理由
日本の社会保険制度においては、働き方の「実態」が何よりも重視されます。契約時に記載された内容や希望ではなく、実際の労働時間・日数・給与によって判断されるからです。
このため、会社側が本来社会保険に加入させるべきなのに加入手続きを怠っていた場合、後からさかのぼって加入手続きが行われることもあります。
保険料は誰が払う?さかのぼって徴収される?
社会保険料は原則として「会社と労働者の折半」となります。たとえ遡って加入となった場合でも、会社と折半で支払うことになります。
つまり、個人が全額負担することはありません。ただし、給与から一括で差し引かれると生活に影響が出る可能性があるため、支払方法について会社と相談しましょう。
企業が社会保険手続きを怠っていた場合のリスク
企業側が故意または過失で社会保険への加入手続きを怠っていた場合、事業者は行政指導や追徴金の対象になることもあります。
そのため、自身が加入対象であると感じた場合は、雇用主や人事部門に確認し、必要であれば年金事務所や労働基準監督署に相談することも選択肢です。
実例:契約時「加入しない」と記載していたAさんのケース
Aさんは、週25時間勤務・月給10万円・3か月以上の契約でアルバイトを開始。当初「社会保険は加入しない」と言われていたものの、2か月後に社会保険加入が必要と指摘されました。
結果的に、Aさんは初月からさかのぼって社会保険加入扱いとなり、未納の保険料を会社と折半で支払いました。Aさんは月1万円弱の保険料負担となりましたが、健康保険証と年金加入実績が得られたため、制度上の安心感も得ることができました。
まとめ:実働が加入条件を満たせば加入義務あり
契約時に社会保険加入を希望しない旨を記載していても、実際の勤務状況によっては加入義務が発生します。個人が全額を負担することはなく、会社と折半で支払うルールが基本です。
働き始めた後に「もしかして加入条件を満たしているのでは?」と感じたら、まずは人事担当者に確認し、それでも不安がある場合は日本年金機構に相談してみましょう。
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