確定拠出年金を一時金で受け取ると税金はどうなる?退職所得控除の再利用と注意点を解説

税金、年金

個人型確定拠出年金(iDeCo)の受け取り時期が近づいてきた方にとって、一時金での受給に伴う税金の扱いは非常に重要です。特に過去に退職金を受け取り、すでに退職所得控除を利用したケースでは、再度の控除が使えるのか、どれだけ課税されるのかが気になるところでしょう。この記事では、一時金受取時の課税の仕組みと、過去に退職金を受け取っていた場合の控除の取り扱いについて解説します。

確定拠出年金を一時金で受け取る場合の課税区分

iDeCoや企業型DCを一時金として受け取る場合、その受取額は「退職所得」として課税対象になります。

退職所得には退職所得控除が適用され、一定額までは非課税となります。ただし、過去に退職所得控除を使っていた場合は要注意です。

退職所得控除は「1回限り」ではないが、通算される

退職所得控除は基本的に同一年内または数年内での受給に関して「通算」されます。具体的には、前回退職金を受け取った年からの経過年数により控除額が再計算されます。

例えば、56歳で退職金を受け取り、65歳でiDeCoを一時金受取する場合、9年経過しています。この場合、控除額がリセットされる可能性がありますが、前回の控除利用履歴が完全に消えるわけではありません。

退職所得控除の計算方法と具体例

退職所得控除額は以下の計算式で求められます。

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)

退職所得の金額は、(受取額−退職所得控除)×1/2で計算されます。

たとえば65歳時に確定拠出年金で600万円を一時金で受け取った場合で、すでに退職金で控除を使い切っていたとすると、控除がほとんどないか大幅に減ることになります。

過去に退職金を受け取った場合の控除の扱い

国税庁の見解では、退職所得控除の適用は「同一法人からの退職金」でなければ、それぞれの退職金に個別適用できるとされています。

しかし、確定拠出年金も退職金に準じた退職所得となるため、前回の受取日から5年以内などの場合は合算扱いになる可能性があります。今回のケースでは9年経過しているため、再度控除の適用対象となる可能性はありますが、正確な控除額の計算は税務署や税理士への確認が必要です。

税金を抑えるために年金形式での受け取りも選択肢

一時金ではなく「年金形式」での受け取りを選ぶと、所得区分は雑所得となり、公的年金等控除を活用できるため、年間課税額を分散して抑えることが可能です。

一時金として一度に受け取るか、年金形式で分割するかは、税額の試算をもとに検討するのが賢明です。

まとめ:再利用できるかは期間と金額次第、必ず試算を

過去に退職金で退職所得控除を利用していても、一定期間経過後であれば確定拠出年金受取時に新たに控除が使える可能性があります。

ただし課税リスクを正しく判断するには、控除の残額や受取額を含めた詳細なシミュレーションが不可欠です。税務署や専門家に相談し、自分にとって最適な受け取り方を選びましょう。

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