病気やケガで働けなくなったとき、社会保険に加入している方には「傷病手当金」が支給される可能性があります。有給休暇とどう使い分けるべきか、手当金は収入として扱われるのかなど、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、特に1カ月程度の入院時に知っておきたい制度の活用方法を解説します。
傷病手当金とは?働けない期間の生活を支える制度
傷病手当金は、病気やケガで会社を休み、給与が支払われない場合に、健康保険から一定額が支給される制度です。連続する3日間の待期期間の後、4日目以降の欠勤から適用されます。
たとえば肺炎で1カ月入院し給与が支払われない場合、傷病手当金が適用される可能性が高いです。社会保険に加入している会社員が対象で、自営業やフリーランスは対象外です。
有給休暇と傷病手当金、どちらを使うべき?
原則として、有給休暇を使用した日は給与が支払われるため、その期間は傷病手当金の対象にはなりません。つまり、有給か傷病手当金か、いずれかを選択することになります。
短期間の休職であれば有給を使用するのも一案ですが、1カ月以上の長期入院で有給日数が不足している場合は、傷病手当金の申請を考えるべきです。
支給額の計算方法と、月40万円の場合の例
傷病手当金の支給額は「標準報酬日額の3分の2」が基本です。これは過去12カ月の平均報酬から算出されます。
たとえば月収40万円の方の場合:標準報酬月額が40万円なら、おおよその日額は13,333円。傷病手当金はこの約3分の2で、1日あたり約8,888円、1カ月で約266,640円が目安となります。
傷病手当金は「収入」として扱われるのか?
税制上、傷病手当金は「非課税収入」に分類されます。つまり、所得税や住民税の課税対象にはなりません。
ただし、住民税の所得割の算定や、児童手当・保育料の算出など、一部の行政サービスでは「みなし所得」として考慮される場合があります。明確な所得ではないが、制度によって扱いが異なる点に注意が必要です。
申請に必要な書類と手続きの流れ
傷病手当金の申請には、勤務先と医療機関の証明が必要です。具体的には「傷病手当金支給申請書」を健康保険組合に提出します。
提出には以下の3つの証明が必要です:
- 本人の申請欄
- 事業主による勤務状況の証明
- 医師による療養状況の証明
支給は申請後1カ月〜2カ月程度が一般的です。
まとめ:状況に応じて制度を有効活用しよう
1カ月の入院というケースでは、有給が足りない・給与が出ない場合は傷病手当金の利用が有効です。収入が途絶える不安を和らげる制度なので、対象条件や申請方法をしっかり確認しておきましょう。
また、傷病手当金は非課税である一方、制度によって収入扱いになることもあるため、自分が受けている行政サービスに影響が出ないかも確認することをおすすめします。
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