仕事中のケガや通勤途中の事故などで労災保険を使える状況にあっても、「病院に行かないと補償が受けられないのか?」「軽傷だけど申請していいのか?」と悩む方は少なくありません。本記事では、労災保険の補償を受けるために必要な条件や、治療を受けたかどうかによって何が変わるのかをわかりやすく解説します。
そもそも労災保険とは?対象になるケースを整理
労災保険とは、業務中や通勤途中の事故や病気などに対して、治療費・休業補償・障害補償などを給付する公的制度です。すべての労働者が対象で、パート・アルバイトも含まれます。
たとえば以下のようなケースが対象になります。
- 業務中に転倒してケガをした
- 通勤途中で交通事故にあった
- 仕事のストレスが原因でメンタル不調をきたした
これらに該当する場合、労災申請を通じて保険給付を受けることが可能です。
治療を受けないと保険金はおりない?
労災保険の給付は「実際にかかった費用」や「働けないことによる損失」がある場合に支払われます。つまり、ケガをしても病院に行かず、医療費が発生しなければ「療養補償給付(治療費の給付)」は支給されません。
ただし、診断書や労災申請書類により「労災に該当する負傷・疾病」であることを証明できれば、休業補償給付や障害補償給付など、他の補償は可能になるケースもあります。
軽傷でも労災申請はできる?
軽度な打撲や擦り傷、体調不良でも業務起因であれば申請は可能です。ただし、医師による診断がないと「労災としての因果関係」が認定されづらいという現実があります。
また、治療を受けていないことで後から症状が悪化しても、証拠が乏しいと労災認定が困難になります。自己判断せず、早めに受診し、必要に応じて「労災指定病院」での受診を検討しましょう。
労災手続きの流れと必要書類
労災申請の基本的な流れは以下の通りです。
- ① 上司や会社に事故を報告
- ② 医療機関を受診(労災指定医であれば費用の立替不要)
- ③ 「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式5号)」を医師と会社で記入
- ④ 労働基準監督署に提出
病院に行かない場合は、労災による休業や後遺症が発生しても、自己申告だけでは給付対象外となるリスクがあります。
労災の申請は「会社任せ」にしないことが重要
一部の事業所では、「労災にしたくない」という理由から、会社が健康保険で処理するよう求めるケースも見受けられます。これは本来不適切な対応であり、労働者が損をする原因になります。
自分が労災に該当するか不安な場合は、労働基準監督署に直接相談することも可能です。申請の正当性や証拠の残し方について、無料でアドバイスを受けられます。
まとめ:治療を受けないと労災はおりない?原則は「費用が発生してこそ給付」
労災保険は、実際に発生した医療費や休業による損害に対して給付される制度です。そのため、病院での治療を受けなければ「療養補償」は支給されませんが、状況によっては休業補償などが認められることもあります。
軽症であっても、自己判断せず、まずは医療機関で診断を受けることが、労災認定への第一歩です。小さなケガでも、大きな損失につながることもあるため、早めの対応が安心につながります。
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