会社を退職してから次の就職先に入社するまでの期間、健康保険の手続きが滞ってしまうことは意外と多くあります。今回は、退職から新しい職場に就くまでの間に国民健康保険への切り替えを行わなかった場合、どのような影響があり、どのように対処すべきかを詳しく解説します。
会社を退職した後の健康保険の基本的な選択肢
退職後、健康保険には次の3つの選択肢があります。
- 1. 国民健康保険に加入
- 2. 任意継続(前職の健康保険を最大2年間継続)
- 3. 家族の扶養に入る(配偶者などの健康保険に加入)
いずれかの手続きを行わないまま放置していると、無保険状態になる可能性があるため注意が必要です。
切り替えを行わないまま14日以上経過した場合のリスク
健康保険の切り替え手続きには原則として「退職日の翌日から14日以内に手続きを行う」ことが求められています。これを過ぎた場合、罰則などはありませんが、次のようなデメリットがあります。
- 医療費が全額自己負担となる
- 後から国民健康保険の加入手続きをしても「遡って請求される」
- 未納期間が長いと延滞金が発生する可能性がある
たとえば、6月上旬に退職し、7月末に新しい会社へ入社する場合、1ヶ月半ほど空白期間ができるため、その間の医療費は全額自己負担になるリスクがあります。
市役所からの振込用紙はいつ届くのか
市役所から国民健康保険料の納付書が届くのは、通常、加入手続き後に住民票情報などをもとに作成されます。つまり、本人が申請しない限り、自動的には送られてきません。
そのため「振込用紙が届くのを待つ」だけではなく、自分で役所に出向き、保険の切り替え手続きをする必要があります。
新しい勤務先に入社した後の健康保険加入と重複の可能性
7月下旬から新しい勤務先で社会保険に加入する場合、それ以降の期間は自動的に会社の保険へと切り替わります。ただし、6月上旬~7月下旬の空白期間は未加入のままになってしまいます。
もし後から国民健康保険に加入手続きをした場合、遡って6月上旬からの保険料を請求されることになります。仮に医療機関を利用していなかったとしても、保険料の支払いは原則必要です。
実際のケース:手続きを怠ったことで起きるトラブル
例えば、6月15日に退職したAさんが7月末に再就職するまで手続きをせずにいた結果、7月に体調を崩して病院にかかった際、全額自己負担で約2万円を支払うことになりました。その後、市役所に手続きを行い、国民健康保険へ遡って加入したことで、医療費の7割が払い戻されましたが、約1ヶ月後に6月から7月分の保険料約25,000円の請求書も届きました。
このように、一時的に自己負担が増えるだけでなく、保険料負担も後から発生するため、手続きは早めに行うのが得策です。
まとめ:退職後の健康保険切り替えは自己責任で迅速に
退職後に健康保険の手続きをせずに放置してしまうと、無保険期間が発生し、高額な医療費の支払いや後からの保険料請求など、思わぬ出費に繋がる可能性があります。
たとえすぐに再就職が決まっていても、入社までの空白期間が2週間以上ある場合は、速やかに市区町村の役所で国民健康保険の加入手続きを行いましょう。手続きが遅れても遡って加入できる場合もあるため、できるだけ早めの対応をおすすめします。
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