会社に就職した直後、給与のわりに社会保険料が高いと感じる方は少なくありません。特にタクシー業など歩合制の職種では、報酬が月ごとに変動するため、保険料の仕組みに疑問を抱くこともあるでしょう。この記事では、標準報酬月額と等級、そして社会保険料がどう決まるのかを、実例を交えてわかりやすく解説します。
標準報酬月額とは?社会保険料の基準になる金額
標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金などの社会保険料を算定する際の基準となる月額報酬のことです。これは基本的に、月給・諸手当・残業代などを合算して決定されます。金額ごとに1等級から47等級まで分類され、それに応じて保険料が変わります。
例えば26等級であれば、標準報酬月額は37万円〜39万円相当となり、それに基づく自己負担額が健康保険料で約2.2万円、厚生年金保険料で約3.5万円程度になることもあります。
入社直後の「見込み報酬」で仮決定される
入社月を含む最初の3カ月は、実際の給与額ではなく、会社が「見込みの報酬額」で標準報酬月額を申告します。これは「報酬月額算定の特例」と呼ばれ、入社時点ではまだ給与実績がないため、見込み金額で社会保険料が決まってしまう仕組みです。
たとえば、会社があなたの報酬を月38万円と想定した場合、自動的に26等級が割り当てられ、高額な保険料が差し引かれることになります。
実際の報酬と乖離がある場合の対処方法
もし、毎月の給与が27万円など、見込みよりも大きく下回る場合には、「随時改定(月額変更届)」を行うことで標準報酬月額の変更が可能です。これは3カ月間の給与の平均が著しく変動した場合に申請でき、適正な等級に再設定してもらえます。
特に歩合制の場合、報酬の上下が大きいため、毎月の実績を記録しておき、会社側に月額変更届の提出を依頼することが重要です。
会社が勝手に高く設定できるのか?
制度上は、会社が「報酬見込み額」を算定して届け出ることは可能です。しかし、実際の給与とあまりにもかけ離れている場合には、労働者からの申し出によって訂正や見直しも可能です。
トラブル回避のためには、入社時に「標準報酬月額はどう設定されていますか?」と確認しておくのが理想です。また、給与明細と等級が著しく不一致であれば、社会保険事務所や労基署への相談も視野に入れましょう。
標準報酬月額の変更タイミングと手続き
「月額変更届」の提出が可能になるのは、3カ月連続で月収に大きな増減(±2等級以上)があるときです。提出から反映までは約1〜2カ月かかることもあるため、早めの対応が重要です。
提出は基本的に会社が行いますが、社員本人からの要望や相談がなければ放置されるケースもあるため、給与の推移を確認しながらタイミングを見計らって申し出ましょう。
まとめ:保険料が高すぎると感じたら確認すべきポイント
社会保険料が給与に見合わず高く感じる場合は、まず標準報酬月額と等級を確認し、会社の見込み額が適正かどうかチェックしましょう。そして、実際の給与に合っていなければ、3カ月経過後に「月額変更届」で見直すことが可能です。制度を理解し、適正な保険料で安心して働ける環境を整えることが大切です。
コメント