ふるさと納税を活用している方の中には、ワンストップ特例制度を使い忘れて確定申告に切り替えた経験がある方もいるでしょう。その際、「想定より還付金が少ない」「一部しか戻ってきていない」という疑問を抱くことがあります。この記事では、ふるさと納税の還付の仕組みと、確定申告時に一部だけ現金で還付される理由を、実例を交えて詳しく解説します。
ふるさと納税で得られる税控除の内訳
ふるさと納税で得られる控除額は大きく分けて3つの税に反映されます。
- 所得税の還付(確定申告後に口座に振り込まれる)
- 住民税の「基本控除」(翌年度の住民税から差し引かれる)
- 住民税の「特例控除」(同じく翌年度の住民税から差し引かれる)
つまり、ふるさと納税で支払った金額のうち、実際に「還付金」として振り込まれるのは、所得税分だけということになります。
ワンストップ特例制度との違いとは?
ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税の還付はなく、すべてが住民税の控除という形で処理されます。一方、確定申告をした場合は、住民税控除に加えて所得税の一部が還付されるため、銀行口座にお金が振り込まれます。
ただし、所得税はあくまで「前年度の年収や税率」によって決まるため、控除額全体の中で占める割合が小さいこともあります。そのため、「全部戻ると思ったのに、1200円だけ?」と感じる結果になりがちです。
実例で理解する:3万円の寄付で1200円だけ還付される理由
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
寄付額 | 30,000円 |
---|---|
自己負担額 | 2,000円 |
控除対象額 | 28,000円 |
所得税の還付 | 1,200円 |
住民税の控除 | 26,800円 |
この場合、確定申告後に所得税から1,200円が口座に振り込まれ、残りの26,800円は翌年の住民税から自動的に控除されるという流れになります。
つまり、還付金額が少ないのは「全部返ってこなかった」のではなく、「返る場所が違う」ためなのです。
還付金が少なく見えるときの注意点
実際の控除効果を確認したい場合は、翌年6月頃に届く住民税決定通知書で確認できます。ここにふるさと納税による控除金額が記載されているはずです。
また、源泉徴収額が少ない、または所得税そのものがほとんど発生していない場合は、所得税還付額がごく少額(数百円〜千円程度)になることもあります。
ふるさと納税で損しないためのポイント
ふるさと納税の恩恵を最大限に受けるには、以下の点を意識しましょう。
- 寄付額の上限を正確に把握する(シミュレーターを活用)
- ワンストップ特例と確定申告の違いを理解する
- 控除の仕組み(所得税・住民税の内訳)を知っておく
- 決定通知書などで控除額を確認する
誤解しやすいのは「すべてのお金が戻ってくる」という感覚ですが、実際には税金が減額される形が主であり、直接現金で戻ってくるわけではありません。
まとめ:還付金が少ないのは正常、住民税の控除に注目
ふるさと納税を確定申告で処理した場合、「1200円しか戻ってこなかった」と感じるのはよくあるケースですが、実際にはそのほとんどが住民税控除として処理されています。所得税からの還付金は一部のみであるため、心配は無用です。
還付額が想定より少ない場合でも、翌年の住民税がしっかり減っているか確認すれば、ふるさと納税の効果を実感できるはずです。仕組みを理解して、賢くふるさと納税を活用しましょう。
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