長年加入していた生命保険を解約した際、「解約返戻金」に対して税金がかかるのか、そして確定申告が必要なのか迷う方は少なくありません。特に30年以上前に契約した終身保険などは、現在の保険と制度も異なる点が多く、正確な理解が大切です。
解約返戻金とは?その基本を理解する
解約返戻金とは、保険契約を途中で解約した際に保険会社から返金されるお金のことです。保険の種類や契約年数に応じて金額は異なりますが、基本的に「戻ってくるお金=収入」ではありません。
支払った保険料の総額より返戻金が少ない場合、損失が出ているため税金は発生しません。この点を誤解している方も多いため、しっかり押さえておきましょう。
課税対象になるケースとは?
生命保険の解約返戻金が課税されるのは、次の2つの条件に該当する場合です。
- 解約返戻金が一時所得に該当し、課税計算が必要になるとき
- 保険料の支払総額よりも返戻金が大きく上回るとき
一時所得は、「収入金額 − 支出金額 − 特別控除(最高50万円)」で計算され、その金額の1/2が所得として課税対象になります。
今回のケースでは、総支払額が約504万円に対して返戻金が200万円であるため、支払額が返戻金を上回っており「利益なし」と判断されるので、原則として課税対象外です。
それでも確定申告が必要とされる場合とは?
税金が発生しない場合でも、「一時所得としての収入がある」とみなされる金額が100万円を超える場合には、税務署や保険会社が申告を促すケースがあります。
ただし、これは税務署側が「該当するかどうか」を判断するためのもので、課税されるとは限りません。返戻金が500万円で利益が出ていなければ、申告しても税額はゼロになることがほとんどです。
一方、確定申告の義務がある年(例えば給与以外の収入が20万円を超えているなど)には、他の項目と合わせて一括で申告することが推奨されます。
具体的なケースで考える:今回の相談例
たとえば27歳から50歳までに198,000円×24年=約475万円、51歳から57歳までに42,000円×7年=約29万円、合計約504万円を支払ったとします。そして解約返戻金は200万円。この場合、明確に「損失」なので、税金はかかりませんし、申告の必要も原則ありません。
ただし、念のために解約返戻金の内訳や契約書類を手元に保管し、税務署から確認が入った場合には説明できるようにしておくと安心です。
申告するメリットがあるケースとは?
もし、返戻金が高額でもっと他の一時所得(たとえば満期保険金など)もある場合、それらを合わせて申告した方が有利になることもあります。
また、医療費控除やふるさと納税などとあわせて確定申告を行う方は、生命保険の解約に関しても念のため記載しておくと後々のトラブル防止にもつながります。
まとめ:課税はされないが記録は残すことが重要
今回のように支払った保険料総額よりも返戻金が少ない場合、課税はされず、確定申告も基本的に必要ありません。ただし、返戻金が高額だったり他の所得と合わせて判断すべきケースでは、税務署や専門家に確認をとるのが安心です。
正しい知識と冷静な判断で、不要な税金トラブルを回避しましょう。
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