休職中に傷病手当金を受け取り、給与が支給されていなかった場合でも、転職後に前職の源泉徴収票を求められることがあります。しかし、傷病手当金と源泉徴収票の関係はやや複雑で、状況によって発行されないケースもあります。今回は、傷病手当と源泉徴収票の関係や、転職時の対応方法についてわかりやすく解説します。
傷病手当金は源泉徴収票に記載されない
傷病手当金は、健康保険組合や協会けんぽから支給される「非課税所得」です。そのため、給与所得ではないため、源泉徴収票には記載されません。
したがって、1〜3月に給与の支給がまったくなかった場合、会社は「発行すべき給与情報がない」と判断し、源泉徴収票の発行対象外となることがあります。
ただし、源泉徴収票の発行義務があるのは「その年に1円でも給与支給があった場合」です。
源泉徴収票が発行されるケースとは?
以下のいずれかに当てはまる場合は、前職から源泉徴収票が発行されます。
- 年初に給与が一部でも支払われていた(例:1月分の給与)
- 退職金や手当などが支給されていた
- 年末調整で還付や調整が行われた
たとえば、1月25日に1月分の給与を受け取り、その後休職し3月末で退職した場合は、1月分の給与があるため源泉徴収票が発行されます。
給与支給がなかった場合の転職先への対応方法
もし1〜3月に給与が一切なく、源泉徴収票が発行されない場合でも、転職先にはその旨を正直に伝えましょう。以下のように対応できます。
- 給与支給がなかったことを口頭または文書で説明
- 新しい会社で年末調整を受けるために「給与所得がなかった」と申告
必要であれば、前職の人事部に「今年の給与支給がなかったため、源泉徴収票の発行はありません」と記載された文書やメールを依頼すると安心です。
源泉徴収票が必要になるケースと代替手段
年末調整や確定申告で源泉徴収票が必要になる場合はありますが、給与支給がなければ当然記載すべき内容もないため、発行そのものが行われないのは正当な対応です。
それでも証明が必要な場合は、以下の書類が代替として使われることがあります。
- 前職からの「在職証明書」
- 退職証明書
- 休職証明書
- 健康保険証の資格喪失証明書
転職先が厳格な対応を求める場合には、これらの補足資料を活用しましょう。
確定申告との関係性について
傷病手当金は非課税所得のため、確定申告においても原則として申告不要です。ただし、医療費控除など別の控除を受ける場合は、手当金を差し引いた実際の医療費負担額を明確にする必要があります。
また、副業をしていた場合や、複数の給与収入がある場合は、源泉徴収票の有無にかかわらず確定申告が必要になるケースがありますので、注意しましょう。
まとめ:給与がなければ源泉徴収票は不要、転職先には正確な説明を
1〜3月に給与がなく、傷病手当金のみを受け取っていた場合は、源泉徴収票は発行されない可能性が高いです。これは違法でも異常でもなく、正当な事務処理です。
転職先にはその旨を正確に伝え、必要であれば補足資料を提出することで、スムーズに処理を進めることができます。心配な場合は、前職の人事担当者や税理士、または転職先の総務担当に相談してみましょう。
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