高額オーディオ機器を販売する際に「銀行が買い手の口座に一度入金→売主に振り返し→発送」という流れがあると聞くと、何を目的にしているのか戸惑いますよね。本記事ではこの手順が生まれる背景や仕組みを、「エスクロー(第三者預託)」の観点から解説します。
なぜ銀行が一度振込を買主口座に?
銀行が融資審査を通した後、本来は売主に直接振込すれば良いはず。それを買主口座へ一度振り込む理由は、“資金の用途確認”や“契約履行の意志確認”にあります。
例えば買主が別の目的で現金化しようとした場合、銀行はそれを防ぐためのルールを設けています。これは貸付金が正しい用途に使われているかをチェックする制度です。
エスクロー方式との類似点
この流れは実質的に「エスクロー(第三者預託)」です。売買代金を中立の“預託口座”にプールし、両者の契約が完了したタイミングで振込を行います。
エスクローは、オンラインオークションや不動産取引でもよく使われ、安全性の担保手段としてよく知られています。高額商品の取引では特に信用維持に重要です。[参照]
なぜ買主が先に全額振込むのか?
銀行が融資審査で立替保証をする場合、買主に一旦入金して返金依頼書を提出させることで、実質的に買主の「準備が整っている」意思確認ができます。
またこうすることで、銀行側としては融資の責任範囲を明確にし、契約不履行に備えて法的な証拠を残すことができます。
売主にとってのメリットと注意点
この手順にはメリットがありますが、詐欺や誤入金に注意が必要です。例えば、「銀行から振込があった」と言われて機器を発送した後、実は振込が偽装だった、というケースです。
そのため、売主側は以下の点を確認すべきです。
- 銀行の正規振込かどうか
- 返金依頼書が正式なものか
- 振込と返金依頼のタイミングが妥当か
実例で見る典型的なエスクローパターン
例えば中古車販売。買い手がローン利用時、一度ローン会社が買い手に払った後、買い手が車の質検・整備を確認した後で販売者に支払う流れになります。
このように、「信頼を担保しつつ取引を進める」仕組みとしてエスクローは有効です。
まとめ
エスクロー的な手続きでは、一度買主口座に振込→返金依頼→売主へ、という流れは「契約履行と資金目的の確認のため」に設定されている安全装置です。
売主としては、銀行との契約内容を確認し、返金依頼書の内容・タイミング・振込先を慎重にチェックして、詐欺や誤送金のリスクを避けるよう心がけましょう。
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