障害年金の受給に関心を持つ方は多く、特に精神疾患や身体障害によって働くことが難しくなった場合の生活保障として重要な制度です。今回は、厚生年金加入者として障害年金を受給するために必要な条件や診断書の影響、申請時の注意点について解説します。
障害年金とは?厚生年金と国民年金の違い
障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障をきたした人が受け取れる年金制度で、「国民年金」では障害基礎年金、「厚生年金」では障害厚生年金が支給されます。厚生年金に加入していた人は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されるため、受給額が多くなるのが特徴です。
したがって、年金事務所で「厚生年金なので問題ない」と言われたのは、制度上の土台が整っているという意味であり、次のステップとして診断書などの条件を満たせば、受給の可能性があるということです。
障害年金の受給要件:3つの基本条件
障害年金の受給には、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 初診日要件:障害の原因となった病気・ケガについて、初めて医師の診療を受けた日が、年金制度加入中であること。
- 保険料納付要件:初診日の前日において、年金保険料の納付が一定基準を満たしていること(原則として、直近1年間に未納がないこと)。
- 障害認定日要件:初診日から原則1年6ヶ月経過した時点(またはその前に症状が固定された時)に、障害の程度が等級に該当していること。
このうち特に重要なのが「初診日」の特定と、その時点で保険料納付要件を満たしていたかどうかです。
診断書の内容が鍵を握る理由
障害年金の受給可否を左右する大きな要素が、医師による診断書の内容です。診断書には日常生活能力、労働能力、通院状況、精神症状や身体機能などが詳細に記載され、これを基に年金機構が等級判定を行います。
たとえば精神障害の場合、「日常生活の困難さ」や「就労の制限状況」が重要な判断材料となります。B型作業所で週3日勤務していても、それが支援付きかつ軽度な作業であれば、就労実績があっても受給対象となるケースもあります。
就労していても障害年金はもらえる?
よく誤解されるのが「働いていると障害年金はもらえない」という点ですが、実際には軽作業や支援付きの就労であれば支給される例も多数あります。年金機構は「就労の有無」よりも、「どの程度の援助が必要か」や「日常生活の制限度合い」を重視します。
たとえば、実家で家族の支援を受けながら生活しており、通院と服薬管理が必要であれば、労働能力が一部認められても障害等級に該当する可能性は十分あります。
障害年金の等級と支給額の目安
障害年金の等級は1級〜3級に分かれており、等級によって支給額が異なります。
- 障害基礎年金(国民年金加入者):1級 約99万円、2級 約79万円(年額)
- 障害厚生年金(厚生年金加入者):報酬に応じた計算+配偶者・子の加算あり
たとえば、厚生年金に3年加入し、報酬月額が平均20万円であった人が2級認定された場合、年額で約90〜110万円程度が支給される可能性があります。
申請時に準備すべき書類と流れ
障害年金の申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 受診状況等証明書(初診日を証明)
- 診断書(障害の状態を証明)
- 病歴・就労状況等申立書
- 本人確認書類、年金手帳、印鑑
これらをそろえたら、年金事務所や市区町村の年金窓口にて申請を行います。不安がある場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士への相談もおすすめです。
まとめ:診断書と生活実態の記載がカギ。正しく準備しよう
障害年金は、単に「病気がある」だけでなく、初診日や保険料納付、障害の程度など複数の条件をクリアする必要があります。特に、診断書の内容と生活実態の丁寧な記載が審査のカギを握ります。
不安な場合は、年金事務所に何度も相談したり、経験豊富な社労士にサポートを依頼することで、受給の可能性を高めることができます。
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