交通事故で保険を使わずに示談をする場合、加害・被害割合に応じてお金をやり取りする「相殺」が行われます。しかし、保険会社や修理工場から説明されても、仕組みや支払先の意味がわかりにくいことがあります。この記事では、相殺精算がどのように行われるのか、その仕組みをわかりやすく解説します。
相殺とは何か?基本の考え方
相殺とは、双方に修理代などの支払い義務がある場合、その金額を相互に差し引いて、最終的に支払うべき差額だけを支払う方法を指します。交通事故での相殺は、過失割合に基づいて支払い額を調整するためによく行われます。
例えば、相手の損害額が16万円、こちらの損害額が10万円、過失割合が相手9:こちら1なら、本来は相手がこちらに9割分、こちらが相手に1割分の損害額を請求します。この2つを「相殺」することで、最終的にどちらがいくら支払うべきかが簡単になります。
今回のケースを数字で見てみる
実際に今回の例で計算してみましょう。
相手の損害 16万円 × 相手が負担すべき割合(1割)= 1.6万円(あなたが相手へ払う)
こちらの損害 10万円 × 相手が負担すべき割合(9割)= 9万円(相手があなたに払う)
この2つを相殺すると、最終的には。
9万円 - 1.6万円 = 7.4万円(あなたが受け取る金額)
「修理工場に直接支払う」と言われた理由
保険担当者が「相手の1割とこちらの1割を直接修理工場に支払ってください」と言った理由は、実務上の処理を簡単にするためです。保険を使わない場合、修理費の支払いを当事者同士でやりとりすると、ミスが起きたり、相手が支払わないなどのトラブルが起こる可能性があります。
そのため、修理代の支払いは修理工場が窓口となり、そこに各自必要な負担額を支払う形がよく取られます。これにより、工場側で「誰がどの割合で支払ったのか」が明確になり、精算ミスが防げます。
相殺しても支払う先が修理工場になるだけなのか?
結論から言えば、支払う金額は変わりませんが、支払先が修理工場になるため手続きがスムーズになるというだけです。
相殺自体は「お互いの負担額を差し引いて精算する」という意味であり、支払先が誰になるかは手続き上の問題に過ぎません。修理工場に直接支払うことで、工場が相殺後の金額を正しく処理してくれます。
具体例:どんな流れになる?
今回のケースを具体的に流れで説明すると。
- ① あなたは工場に「自分の修理代の1割+相手の修理代の1割」を支払う。
- ② 相手は工場に「あなたの修理代の9割」を支払う。
- ③ 工場はそれを相殺し、最終的にあなたに7.4万円を返金する、または請求額を調整する。
このように、工場が「集金と相殺処理」を行うことで、当事者同士が直接お金のやり取りをする必要がなくなります。
まとめ
交通事故での相殺処理はわかりにくいですが、基本的には「支払う先を修理工場に一本化することでスムーズに処理する仕組み」です。相殺しても金額が変わるわけではありません。むしろ、工場に任せることでトラブル防止になり、安全に精算ができます。
今回のケースでは、修理工場が窓口となり、必要な分だけ支払うことで最終的に相殺されますので、不安な場合は工場や保険担当者に「相殺後の最終的な受取額と支払額」を紙で確認することをおすすめします。


コメント