地震のリスクが高い日本では、首都圏に築年数のあるマンションを所有・居住する際、地震保険に加入するかどうかは悩ましい問題です。特に「新耐震基準を満たしているから大丈夫」と感じる方もいますが、実際には想定以上の揺れや被害が起きる可能性も否定できません。本記事では、築22年のオール電化マンションを例に、地震保険の必要性を多角的に解説します。
新耐震基準とは?安心材料になるか
1981年以降に建てられた建築物は「新耐震基準」に基づいて設計されています。これにより、大規模地震でも倒壊の可能性は低くなるとされています。
しかし、新耐震基準は「震度6強程度までの地震で倒壊しない」ことを想定しており、「無被害」を保証するものではありません。建物は倒壊しなくても内装や配管、設備に深刻な損害が出るケースがあります。
地震保険でカバーされる内容
地震保険は火災保険とは別枠で、以下の災害が対象です。
- 地震
- 噴火
- 津波
補償内容は火災保険の契約金額の50%までで、建物・家財の両方が対象になります。ただし、免責額や支払い上限がある点に注意が必要です。
例:火災保険金額が2000万円なら、地震保険で支払われる上限は1000万円まで。
首都圏で地震保険が必要とされる理由
首都圏はプレート境界が近く、大規模な地震が予測されています。政府の地震調査委員会は、今後30年以内に首都直下地震が発生する確率を70%以上と予測しています。
加えて、マンションの高層階では揺れが大きくなりやすく、家具転倒や窓ガラス破損など、建物の外観以外にも損害が生じやすいのが実情です。
実例:地震保険で助かったケース
2021年の福島県沖地震では、新耐震基準を満たすマンションでも一部タイルの剥がれや配管破損などの損害が報告されました。ある家庭では、地震保険に加入していたことで修繕費約80万円のうち50万円が保険金で賄え、自己負担を抑えることができました。
一方、加入していなかった家庭は火災保険が適用されず、全額自己負担となったケースもあります。
「どうせ請求できない」?誤解と真実
「大地震が起きたら自分が生きているか分からないから保険は意味がない」という声もありますが、実際には多くの被災者が被害のあと数ヶ月〜数年に渡って生活再建をしていく現実があります。
また、近年の地震では「全壊・半壊」だけでなく、「一部損」に対しても保険金が支払われる事例が増えています。保険は、命が助かったあとに生活を立て直すための重要なツールでもあります。
地震保険の費用とコスパ
東京都内で60㎡のマンションに対して、火災保険2000万円・家財保険1000万円の契約をした場合、地震保険料は年間1.5〜2万円程度が一般的です。
費用対効果を考えれば、「最悪の事態」に備えるための支出として決して高くはないといえるでしょう。
まとめ:築年数や立地に関わらず備えを
築22年の新耐震マンションであっても、地震のリスクがゼロになるわけではありません。特に首都圏では、生活インフラやマンション管理にも大きな影響が出る可能性があるため、地震保険に加入することで金銭面のリスクを軽減できます。
地震保険は「自分の身に何かあった後では手遅れになる」保険ではなく、「その後の生活を支えるセーフティネット」として有効です。冷静な視点で検討してみてはいかがでしょうか。
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