認知症の親名義の定期預金を解約したいときの正しい手続きと注意点

貯金

高齢化社会の中で、親の財産管理が子世代にとって重要な課題となっています。特に、親が認知症を発症してしまった場合、定期預金の解約などの手続きに大きな制約が生じることがあります。今回は、ゆうちょ銀行を例にとり、本人が意思表示できない状況での定期預金解約に関して、適切な流れと対応方法を解説します。

認知症で委任状が書けない場合の基本的な考え方

親が認知症を発症し、意思能力が低下している場合、たとえ子どもが親のために行動したくても、原則として法的な代理権がなければ手続きはできません。委任状は本人の意思確認が前提のため、認知症によって判断能力が失われている場合は無効と判断される可能性があります。

このような場合には、「成年後見制度」の活用が現実的な選択肢になります。

成年後見制度の利用が必要な理由

成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が十分でない方を法的に保護する制度です。家庭裁判所を通じて後見人が選任され、その後見人が本人の財産管理や契約行為などを代行することができます。

たとえば、ゆうちょ銀行では、認知症を理由に本人による手続きが不可能な場合、後見人の登記事項証明書や本人確認書類などをもって、定期預金の解約手続きを進めることが可能となります。

成年後見制度を利用する流れ

  • 家庭裁判所に「後見開始の申立て」を行う(申立人は配偶者や子など)
  • 医師の診断書や戸籍謄本などの必要書類を準備する
  • 1〜2か月程度で家庭裁判所の審判結果が出る
  • 後見人として選任された者が、後見登記を経て、正式な代理権を持つ

なお、裁判所の公式サイトでは申立て書式や手続きの詳細が確認できます。

成年後見制度以外の選択肢はあるのか?

一部では「家族信託」や「任意後見契約」といった制度もありますが、これらは事前の準備が必要であり、認知症発症後には新たに契約することはできません。そのため、すでに認知症が進行している場合は、法定後見制度(家庭裁判所を介する後見人制度)以外の実行可能な方法はほとんどありません。

また、病状が軽度であれば、金融機関によっては医師の診断書と一部の本人確認で対応できる場合もあるため、ゆうちょ銀行の窓口やサポートセンターに相談するのも選択肢です。

よくある質問と注意点

Q:家族で話し合っても解約できないの?
→残念ながら、法律的な代理権がなければ、たとえ親族でも預金を引き出すことはできません。

Q:成年後見人になったらすぐに使える?
→後見人は本人の利益を守る義務があるため、解約資金の使い道によっては裁判所の許可が必要となる場合があります。

まとめ:感情ではなく法的な手続きで対応を

親の財産を守りつつ、必要な資金を確保するためには、法に基づいた手続きが不可欠です。認知症により委任状が無効となる場合、成年後見制度を活用してゆうちょ銀行の定期預金を正しく解約するのが基本的な流れとなります。手続きには時間と労力がかかりますが、家族の安心と信頼のために、焦らず丁寧に対応することが大切です。

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