かつてのJA共済などに代表される「高返戻率型のがん保険・医療保険」は、保障と貯蓄の両立を目的に多くの人に支持されてきました。しかし、昨今の低金利環境や制度改正の影響により、保険商品全体の設計は大きく変わっています。今も返戻率の高い保険商品はあるのか、どのように選べばよいのかを詳しく見ていきましょう。
かつての「返戻率が高い医療保険」とは
一昔前の医療保険・がん保険には「満期返戻金」や「解約返戻金」がついており、満期まで契約を続けることで支払った保険料の一部または全部が戻るタイプが一般的でした。特にJA共済などでは、「共済金+満期金」のダブルで安心がある設計が特徴でした。
たとえば40代で契約した終身医療共済に対し、80歳時点で数百万円単位の返戻金が支払われたという事例もあり、老後資金にもなり得る内容でした。
現在の返戻金付き保険の動向
現在も返戻金のある保険は存在しますが、以下のように選択肢は限られています。
- 低解約返戻金型終身保険:医療保障ではなく貯蓄型の保険に医療特約をつけて活用
- がん保険+一時金積立特約:保障+将来の給付金準備がセット
- 養老保険に医療特約を付ける:昔ながらの構造を模したハイブリッド設計
ただし、現在の返戻率は年2〜3%台にとどまることが多く、インフレや投資商品と比較して優位性があるかは慎重な判断が求められます。
掛け捨て型との違いと現代の合理性
現代では「保障は保障、貯蓄は貯蓄」と割り切った考え方が主流となり、保険料を抑えた掛け捨て型商品が人気です。特に、がん治療の実態が変化する中で、以下の理由から掛け捨て型のメリットも見直されています。
- 給付内容が柔軟で治療に即応できる
- 定期的な保障内容の見直しがしやすい
- ネット保険や簡易加入型など選択肢が多い
たとえば月2,000円前後で、診断一時金・通院・先進医療をカバーできるがん保険などは、保障に重点を置く層には合理的な選択肢です。
返戻率重視なら代替手段の活用も視野に
貯蓄性を求めるなら、以下のような保険外の金融商品との併用も現実的です。
- つみたてNISAやiDeCo:運用益非課税で将来資金を形成
- 定期預金や外貨建て商品:資産分散としての効果
- 学資保険の応用活用:子どもがいない家庭でも老後資金として利用
保障が必要な期間は掛け捨て型を選び、資産形成は投資で行うという「保険と資産の分離戦略」が今の潮流です。
最新の返戻金付き保険の実例紹介
2025年現在でも、以下のような返戻率の高めな商品があります。
保険会社 | 商品名 | 特徴 |
---|---|---|
オリックス生命 | 終身保険RISE | 低解約返戻金型。60歳払込で解約返戻金が増加 |
ソニー生命 | バリアブルライフ | 運用成果で返戻率が変動。医療特約あり |
日本生命 | みらいのカタチ | 一時金積立型で老後資金に備え可能 |
ただし、保障重視か返戻重視かで設計の方向性が大きく異なるため、ライフプランとの整合性が重要です。
まとめ:目的に応じて保険選びの考え方を変える
昔ながらの返戻率が高いがん・医療保険は減少傾向にある一方で、現在も設計の工夫次第で保障と貯蓄の両立は可能です。掛け捨てが合理的なケースも多く、目的ごとに商品を分けて考える視点が大切です。
もし返戻型の商品にこだわる場合は、保険ショップやファイナンシャルプランナーに相談し、自身のライフステージに合った商品を選びましょう。
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