結婚後も、独身時代に貯めた貯金を「いざというときの備え」として手をつけずに保管している方は意外と多いものです。その中には、離婚時の財産分与を見越して管理している方もいるでしょう。本記事では、独身時代の貯金を定期預金に変更することの法的リスクや、長期間預けっぱなしにする場合の注意点について解説します。
独身時代の貯金は財産分与の対象になるのか?
原則として、婚姻前に形成された資産は「特有財産」とされ、離婚時の財産分与の対象外となります。つまり、結婚前に貯めた300万円が独身時代のものであると証明できれば、原則分与対象にはなりません。
この証明には、預金通帳の履歴や独身時代の給与明細、貯蓄計画書などが有効です。結婚後に口座を動かさず放置していたという事実も、特有財産性を補強する材料になります。
定期預金への変更が不利になる可能性は?
定期預金に変更しただけで、貯金の性質が「特有財産」から「共有財産」に変わるわけではありません。ただし、結婚後に夫婦共有の資金を混在させて定期預金に預け入れると、共有財産とみなされるリスクが出てきます。
したがって、定期預金にする場合は「結婚前の預金のみを定期に移動する」「預け入れの証拠(履歴)を残す」などの対策が重要です。通帳のコピーや振込記録をPDF保存しておくことも有効です。
長期間放置しても定期預金は安全?ゆうちょ銀行の仕組み
定期預金は満期がくれば自動継続になる場合がほとんどですが、10年以上取引がない口座は「休眠口座」とされる可能性があります。ゆうちょ銀行の場合も、最後の取引から10年が経過すると休眠扱いとなり、通知後に払戻請求がないと預金保険機構に移管されます。
ただし、移管後も本人確認書類を持って手続きすれば、引き出しは可能です。ゆうちょ銀行公式ページでも「消滅」ではなく「移管」と説明されていますので、安心してください。詳細は[参照]。
定期預金の放置で注意すべき点と対策
長期間定期預金をそのままにしておく場合、以下の点に注意しましょう。
- 満期後の自動継続設定を確認する:中には金利が大きく下がるケースもあります。
- 連絡先・住所変更の反映:通知が届かず休眠扱いになるリスクを防ぎます。
- 家族に伝えるかどうかの判断:死亡後の相続手続きが困難になることもあります。
また、年に1回程度は通帳記帳やログインを行い、動きのある口座として維持しておくと安心です。
まとめ:定期預金への切り替えは可能。ただし履歴の保存と名義管理は慎重に
独身時代の貯金を定期預金にすること自体に法的な不利は基本的にありませんが、その資金が婚前のものであると証明できるように履歴や記録を残しておくことが重要です。また、放置する場合は「休眠口座」の扱いにならないように時折動かすか、記帳やログインを忘れずに。
備えとしてお金を動かさない選択は賢明ですが、「動かさない」ことによってかえって不便が生じないよう、賢く管理していきましょう。
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