社会保険料を抑えると将来の年金額はどうなる？4〜6月の給与と年末調整の違いも解説

毎年4月から6月の給与が社会保険料の計算に使われることはよく知られていますが、その影響は年間を通じて大きく、場合によっては将来の年金額にも関係してきます。本記事では「残業を減らして社会保険料を抑えることは本当に得なのか？」という疑問に対して、将来的な年金や税制の観点からわかりやすく解説します。

社会保険料は「標準報酬月額」で決まる

社会保険料（健康保険・厚生年金保険など）は、毎年4〜6月の給与の平均から算出される「標準報酬月額」に基づいて設定されます。この3か月間の給与が高いと、それに応じて1年間の社会保険料も高くなります。

そのため、「この期間は残業を控えたほうが得」と言われることがありますが、単に手取りが増えることだけを目的とした考え方には注意が必要です。

厚生年金は、保険料を多く支払った人ほど将来の年金受給額も多くなる仕組みです。これは「報酬比例部分」と呼ばれ、加入期間と標準報酬月額がベースになっています。

つまり、4〜6月に高い給与（残業など）を得て社会保険料を多く支払えば、その分将来の年金額が増えるということです。

短期的には手取りが減るように感じても、長期的な視点で見ると「払いすぎ」ではなく「将来への先行投資」とも言えます。

社会保険料と混同されがちな制度に「年末調整」がありますが、これは所得税の過不足を調整する仕組みです。給与や扶養の状況に応じて、1年分の所得税を正しく精算するのが目的であり、社会保険料の金額には一切関係しません。

社会保険料は標準報酬月額に基づき翌年の6月まで固定されるため、年末調整で税金が戻ってきても保険料には反映されません。

一方で、定年退職が近い人や年金受給額を意識している人にとっては、4〜6月に多少保険料が増えても、それは将来のリターンとして見込める可能性があります。

4〜6月の残業を減らせば、確かに社会保険料は下がりますが、その分将来の年金額もわずかに減る可能性があります。これは単なる「節約」ではなく、長期的なライフプランとのバランスを見ながら決めるべきポイントです。

年末調整との違いも押さえたうえで、自分にとってベストな選択を考えてみましょう。短期的な手取り増を狙うか、将来の年金を重視するか、選ぶ基準は人それぞれです。