退職を控えた方や療養中の方にとって、傷病手当金の受給期間や申請のタイミングは非常に重要なポイントです。特に有給休暇を消化してからの退職を予定している場合、「退職後も傷病手当金をもらえるのか?」「いつから申請すればいいのか?」という疑問を抱く方も多いでしょう。この記事では、協会けんぽ加入者を例に、退職後に傷病手当金を継続して受給するための条件や流れを詳しく解説します。
傷病手当金とは?基本的な仕組みを理解しよう
傷病手当金とは、病気やケガにより働けなくなった場合に、健康保険から支給される所得補償制度です。原則として、連続する3日間の待期期間の後、4日目以降の労務不能期間に支給されます。
支給期間は通算で最大1年6ヶ月。この間に会社を退職した場合でも、一定の条件を満たせば、引き続き受給が可能です。
退職後も傷病手当金を受給できる条件とは?
退職後に傷病手当金を継続して受け取るには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 退職日前に傷病手当金を受給していること(待期3日間を含む)
- 退職時に傷病が継続しており就労不能な状態であること
- 退職後も健康保険の資格を喪失後の継続給付制度を利用すること
これらを満たしていれば、退職後も残りの支給期間の範囲内で手当を受け取ることができます。
有給休暇を消化して退職する場合の注意点
有給休暇中は給与が支払われるため、傷病手当金の支給対象にはなりません。つまり、有休消化中は原則として傷病手当金は申請・受給できません。
しかし、有給を使い切ったあとの退職日翌日以降で就労不能状態が継続している場合は、そこから再び傷病手当金の申請が可能になります。
例えば、以下のようなスケジュールの場合。
日付 | 内容 |
---|---|
8月31日 | 最終出勤日 |
9月1日~9月20日 | 有給休暇 |
9月21日 | 退職日 |
9月22日~ | 傷病手当金の再申請可能 |
申請に必要な手続きと書類について
退職後の申請でも、申請書のフォーマットは在職中と同様で、協会けんぽの「健康保険傷病手当金支給申請書」を使用します。申請書には主治医の証明欄や、事業主の証明欄が必要ですが、退職後は「退職済」の旨を記載すれば問題ありません。
申請は2ヶ月ごと、または1ヶ月単位で行うのが一般的です。手続きに不備があると支給が遅れるため、書類は丁寧に確認して提出しましょう。
退職後の健康保険の取り扱いも忘れずに
退職後は健康保険の資格を喪失するため、継続給付を受けるためには資格喪失後の継続給付の制度を活用する必要があります。これは退職日までに傷病手当金を受給していた場合に限り適用されます。
また、退職後の保険は「任意継続被保険者」になるか、「国民健康保険」に加入するかを選ぶ必要があるため、どちらを選択するかも早めに検討しておきましょう。
まとめ:有給消化後も条件を満たせば継続受給可能
有給を消化して退職する場合でも、傷病手当金の支給条件を満たしていれば、残りの支給期間について退職後も受給が可能です。重要なのは、有給期間中は傷病手当金が支給されない点と、退職日以降に再度申請を行う必要がある点です。
具体的な日付や状況に応じて対応が異なる場合もあるため、不安がある方は協会けんぽや社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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