近年、相続を見据えて資産状況を把握する人が増えています。親や祖父母の高齢化が進むなかで、将来的な相続資産について関心を持つことは自然な流れと言えるでしょう。本記事では、日本人の平均的な相続資産額や、実際の相続にまつわるリアルなデータ、そして今から準備しておくべきポイントを詳しく解説します。
相続資産の平均額と中央値:何が「多い」「少ない」なのか?
相続において「平均」よりも「中央値」が重要です。国税庁の統計によると、相続人1人あたりの相続資産の平均額は約1,500万円前後ですが、これはごく一部の高額相続が平均を押し上げているため、実際の感覚とは異なる場合があります。
一方で、中央値はおおよそ500万〜700万円程度とされており、現実的には「1,000万円未満の相続」が過半数を占めています。
よくある相続財産の内訳:不動産・預貯金・有価証券
相続資産は現金や預貯金だけでなく、不動産や有価証券、生命保険金など多岐にわたります。特に日本では土地・家屋などの不動産が占める割合が高く、相続税や名義変更などで手続きが煩雑になる傾向があります。
例として、東京都内の一戸建てを所有している家庭では、不動産評価額だけで2,000万円を超えるケースも珍しくありません。現金化しづらい資産が中心の場合、遺産分割で揉めることもあるため要注意です。
「相続見込みがある」としても油断は禁物
「親に資産があるから安心」と思いがちですが、介護費用・医療費・老人ホームの入居費などで想定以上に資産が減少するケースもあります。
また、遺言書がなく相続人が複数いる場合は、資産分割の合意が必要となり、家庭裁判所での調停に発展することもあります。相続争いを防ぐには、今から家族で情報共有を始めるのが理想的です。
相続税の基礎控除額と注意点
2025年時点での相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の計3人なら基礎控除額は4,800万円。これ以下であれば、原則として相続税は発生しません。
しかし、不動産評価額や保険金などが控除枠を超える可能性がある場合は、事前に税理士等の専門家への相談が重要です。
相続を見据えた準備と今できること
相続に備えて今できる行動としては、以下のようなポイントがあります。
- 親の資産状況の大まかな把握
- 法定相続人の確認と話し合い
- 遺言書の作成支援
- 生前贈与や家族信託などの検討
特に高齢の親がいる場合、相続の準備は“縁起でもない”と思われがちですが、「争族(そうぞく)」を防ぐためにも重要です。
まとめ:相続資産は人それぞれ。今から備えて安心を
相続予定資産の金額には大きな個人差がありますが、「相場」を知ることで冷静な判断が可能になります。大切なのは、資産があるかどうかではなく、それをどう引き継ぐかを見据えた準備です。
不動産や金融資産の有無にかかわらず、相続を“自分ごと”として考えることが、家族全体の安心につながります。まずは家族と話すことから始めてみましょう。
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