適応障害で会社を休職した際、多くの方が頼りにする制度の一つが「傷病手当金」です。しかし、医師の対応や通院状況によって申請が難航するケースも少なくありません。本記事では、定期通院していない場合に申請できない理由や、医師の協力が得られないときの対応策について解説します。
傷病手当金の基本条件と「連続した通院」の重要性
傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガで働けなくなった際に支給される制度です。受給にはいくつかの条件があります。
- 業務外の傷病であること
- 就労不能と判断されていること(医師の意見が必要)
- 連続3日以上の休業後、4日目以降も休業していること
- 給与の支払いがない、または減額されていること
この中で重要なのが「就労不能と判断された状態を医師が証明する」こと。医師による診療と経過観察(定期通院)がある程度の頻度で行われていないと、客観的な証明ができないと見なされることがあります。
医師が傷病手当金の申請書を書いてくれない理由
医師が「申請書を作成できない」と断る背景には、申請期間中の患者の状態が把握できないという問題があります。
たとえば、初診時に2〜3週間の休養指示があったとしても、その後に再診がなく、病状の推移や回復状況がわからない場合、医師としては「就労不能状態が継続していた」という証明ができないのです。
これは医学的な証明責任の問題であり、医師が「書きたくない」のではなく、「書けない」状況であることも多いです。
申請が難しくなる患者側の対応例と注意点
以下のような対応は、傷病手当金の申請を難しくする可能性があります。
- 診断書をもらったきりで再診を受けていない
- 医師と事前に「傷病手当金の申請を視野に入れている」旨を伝えていない
- 病状や生活状況を自己判断で記録していない
特にメンタル疾患の場合、就労不能の客観的判断が難しいため、定期的な通院とカルテ記録が重要です。
今後取るべき対応策:医師・医療機関との関係を見直す
今回のような対応に納得できない場合は、次の対応が検討できます。
- 別の医師・クリニックへの相談:事情を説明し、傷病手当金の申請を支援してくれる医師を探す。
- 過去の診療記録を取得:診断書が出された初診日の記録や、休職の指示が出た証拠を確保する。
- 保険者(協会けんぽ・健康保険組合)への相談:事情を説明し、他の証明手段での救済が可能か確認する。
また、申請書の記入を拒否した理由について、各自治体の医療相談窓口や、法テラスなどを通じて第三者的に相談するのも有効です。
実例:同様のケースで対応できた人の事例
たとえば、同じく適応障害で初診1回だけ受診し、その後通院しなかった方が、2週間後に別の心療内科を受診し直して診断書を書いてもらい、申請が通ったという例もあります。
この方は、前医の対応に不信感を抱きながらも、次の医師に誠実に状況を説明し、「なぜ空白期間があったか」を記録と口頭で補足し、無事に傷病手当金を受け取ることができました。
まとめ:医師対応と通院の工夫がカギ
・傷病手当金の申請には、通院記録と医師の就労不能証明が必須
・医師が証明を拒否するのは「証拠が不十分」なためが多い
・別の医師への相談や、診療記録の取得で突破口が見える可能性もある
・今後の生活に関わる重要な制度のため、自治体や専門機関へ早めの相談を
「自分が悪かったのか?」と悩む前に、制度と医師の立場を理解し、次の一手を探ることが大切です。
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