「病気も怪我もしなければ、健康保険料は無駄?」そう感じたことのある人は少なくありません。特に、保険料が高く感じる世代や、自分ではほとんど医療を使っていない人にとっては、「このお金、返ってこないの?」という疑問が湧くのも当然です。本記事では、健康保険料の仕組みや“健康でいることが損にならない理由”をわかりやすく解説します。
健康保険料はどうやって決まる?
日本の健康保険制度は「社会保険方式」を採用しており、保険料は加入者全体の収入に応じて決まります。会社員であれば給与の約10%前後(事業主と折半)が毎月天引きされ、使う・使わないに関係なく一律で支払う形になります。
国民健康保険(自営業や無職の方などが加入)も、前年の所得や世帯の人数をもとに自治体が算出し、年に数回の納付があります。
健康保険は“相互扶助”が原則の制度
健康保険は「自分が得するため」ではなく、「みんなで支え合う」仕組みです。健康な人が保険料を支払うことで、病気やけがで高額な医療費が必要な人の医療費を支える――これが社会保険の根本原則である“相互扶助”です。
つまり、保険を使わなかったからといって損ということはなく、自分が必要になった時には、同じように支えてもらえるという「安心」を買っているとも言えます。
「使っていないと保険料が下がる」制度はあるのか?
民間の医療保険などでは、「無事故返戻金」や「健康割引制度」があるものもありますが、公的な健康保険ではそういった割引は一切ありません。理由は、使用実績に応じて保険料を変えてしまうと、持病のある人や高齢者が不利になるためです。
この制度が守られていることで、日本では年齢や病歴にかかわらず誰でも平等に医療を受けられるのが大きなメリットです。
健康保険を“使っていない”ように見えてもメリットはある
たとえば次のような場面で、知らず知らずのうちに健康保険の恩恵を受けているケースがあります。
- 高額療養費制度:手術や入院時の自己負担が抑えられる
- 傷病手当金:長期の病気・けがによる休職時に支給される
- 出産育児一時金:妊娠・出産時の費用支援
- 予防接種や健康診断の補助:自治体や職場を通じて受けられる
このように、保険料を支払うことで、自分や家族の生活を支える制度にアクセスできるという価値があります。
実例:使わなかったけど「入っててよかった」と思えた瞬間
Gさん(30代・会社員)は、長年ほとんど病院にかかったことがありませんでしたが、交通事故で手術・入院が必要に。医療費総額は100万円を超えましたが、高額療養費制度のおかげで自己負担は月9万円未満に抑えられました。
「まさか自分が使うとは思わなかった。毎月の保険料も、こういう時のためだったんだと実感しました」と語っています。
まとめ:健康保険は「損得」ではなく「備え」
健康保険料は使った分だけ得をする民間保険とは異なり、必要な人が安心して医療を受けられる社会を支えるための制度です。たとえ今使わなかったとしても、自分や家族がいつか病気やけがをした時に備える“お守り”としての価値があります。「損」と考えるのではなく、「いつでも安心して医療を受けられる権利」を買っていると考えてみてはいかがでしょうか。
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