退職後の傷病手当金と個人事業主としての働き方:受給の可否と注意点

社会保険

退職後も健康保険から支給される傷病手当金は、生活の安定を支える重要な制度です。しかし、「個人事業主として働き始めた場合」に手当がどうなるのか、不安に感じている方も多いでしょう。特に収入が低く、傷病手当金の1日あたりの支給額を下回る場合でも、受給できない可能性があるのかは気になるところです。この記事では、そのような状況での受給条件や注意点をわかりやすく解説します。

傷病手当金とは

傷病手当金は、病気やケガによって働けず、会社を休んだ期間中に一定の条件を満たせば支給される健康保険の給付金です。退職後も、在職中に支給要件を満たしていれば最長1年6か月まで継続して受給できます。

支給条件は主に次の4つです。

  • 業務外の病気やけがである
  • 労務不能である
  • 連続する3日間を含む4日以上休んでいる
  • 給与の支払いがない

退職後の傷病手当金と労務不能の定義

退職後も受給を継続するためには、引き続き「労務不能状態」であることが重要です。労務不能とは、「その病状により通常の就労ができない状態」であることを意味し、医師の意見が根拠となります。

たとえば、医師が「週5日のフルタイム勤務は困難」と判断している場合、傷病手当金の受給資格が維持される可能性があります。

個人事業主として働いた場合の影響

個人事業主として活動を始めた場合、収入の多寡にかかわらず、「労務に従事した」と判断されると、傷病手当金の支給は停止されます。

ポイントは「収入額」ではなく「労務への従事有無」です。たとえ1日の収入が傷病手当金よりも少額だったとしても、継続的に業務を行っていたと判断される場合、支給対象外とされる可能性があります。

例えば、在宅で少額のWebライティングをしていた場合でも、報酬の発生や作業実績が明確にある場合は、「働けている」と見なされることがあります。

就労と受給を両立させるには

どうしても一部働かざるを得ない場合、以下の点に注意しましょう。

  • 主治医の意見を確認:医師が「短時間の軽作業なら可能」と認めているかどうかがカギになります。
  • 勤務実態の開示:労働時間・作業内容・報酬を具体的に記録しておくと、後から説明しやすくなります。
  • 傷病手当金申請書の記入:申請書には就労の有無を記入する欄があるため、虚偽申告は絶対に避けるべきです。

なお、自治体や協会けんぽ、健保組合によって審査基準が異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

傷病手当金は「働けない状態」を支援する制度であり、個人事業主として活動を始めた場合、報酬額に関係なく「労務に従事した」と判断されると支給が停止される可能性があります。再就労を検討する際には、主治医の意見や健康保険組合への相談を通じて、受給資格を維持できるか慎重に確認しましょう。生活の安定を保ちつつ、無理のない復職計画を立てることが大切です。

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